日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!
今回紹介するのは、『能面女子の花子さん』
『能面女子の花子さん』
織田涼 講談社 ¥581+税
(2016年4月7日発売)
とある高校の入学式。新入生代表として登壇した女子の顔を見て、全員が戦慄した――なぜなら彼女、泉花子は能面をつけていたから。
花子さんの家は代々能面を受け継ぐ名家で、人前では日常的に能面をつけて生活することになっている。
能面……そう、能の舞台で役者がつけてるアレのことです。つややかな黒髪に無表情な能面は夢に出そうな怖さ!
当然のごとくクラスメートたちは遠巻きにするのだが、当の花子さんはそんな状況にも慣れっこのよう。至ってフツーにあっけらかんと接してくるから、逆にみんなは拍子抜け!?
いや、謎すぎるのはさておき成績優秀、日本女性らしいたしなみを備えていて気品にあふれているけど気取ったところはまったくなくて。
顔は能面に隠されているのに、ときどき優しい笑顔が見えたような気がしてしまうから不思議。文化祭でお化け屋敷をやることになれば、自らお化け役に挙手するフラットな態度は周囲を驚かせつつも、賞賛の的に(笑)。
奇異の目で見られてもそれは当然とゆったりかまえ、だけどみんなとの違いに縛られることはない。
そんな花子さんはなんて素敵な女の子なんだろう!
<文・粟生こずえ>
雑食系編集者&ライター。高円寺「円盤」にて読書推進トークイベント「四度の飯と本が好き」不定期開催中。
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