「あの話題になっているアニメの原作を僕達はじつは知らない。」略して「あのアニ」。
アニメ、映画、ときには舞台、ミュージカル、展覧会……などなど、マンガだけでなく、様々なエンタメ作品を取り上げていく「このマンガがすごい!WEB」の人気企画!
そう、これは「アニメを見ていると原作のマンガも読みたいような気もしてくるけれど、実際は手に取っていないアナタ」に贈る優しめのマンガガイドです。「このマンガがすごい!」ならではの視点で作品をレビュー! そしてもちろん、原作マンガやあわせて読みたいおすすめマンガ作品を紹介します!
今回紹介するのは、『NEW GAME!』
いえーい。みなさん働いていますかー。
朝は満員電車に揺られ、昼は下げたくない頭を下げ、夜はクライアントとのお酒の席で気を揉み……。あ~あ。「パンがないならケーキを食べればいいじゃない」とか言う側の人間に生まれてみたかったなぁ。
そうは言っても、ああ無情。今日も今日とて働かねば、明日の食いブチが尽きるのが世の道理でございましょう。
アニメ『NEW GAME!』を見て、新入社員時代の清い心を思い出すのじゃ!
主人公は涼風青葉(すずかぜ・あおば)。高校卒業後、ゲーム制作会社「イーグルジャンプ」に入社したピッチピチの社会人1年生だ。
さっそくキャラクター班に配属された青葉。上司はなんと、青葉が小学生のころ夢中になって遊んだゲームも手がけた憧れのキャラクターデザイナー・八神コウだ。青葉、カンゲキ☆とばかりに、がぜんやる気満々の青葉。
初めての連続にとまどいながらも、少しずつ仕事を覚えていく。
しかし悲しいかな、社会人。「仕事力」という言葉には、「円滑にコミュニケーションをはかる力」の意味も含まれているざんす。
そこで青葉を鍛えてくれるのが、「イーグルジャンプ」の女子社員たちですよ。仕事の腕はたしかだけど、女子力は低い八神コウ、頼れるお姉さんチックなのに、何かが抜けている遠山りん、ペットのハリネズミを愛する口下手の滝本ひふみ……などなど、キャラの幅広さはさながら「働く女の子図鑑」。もはやキャラクターまつりの域ですぜ。
とまぁ、青葉はなんとも濃~い人たちに囲まれている。青葉はこの人たちに揉まれながら、仕事のスキルと社会性を徐々に身に着けていくのだ!
それにしても、「大人の飲み会に初参加してドキドキ!」とか、「遅刻しそうになってアワアワ……」とか、青葉の初々しさがかわいいったらない。
「アニメを見ているときまで仕事のことを考えたくない」という人もいるかもしれない。だけど、お仕事の周辺事情をゆるくかわいく描いた『NEW GAME!』を見ながら新社会人のころを思い出してみるのも、なかなかイイかもしれないですよ!
『NEW GAME!』のアニメを観たあとに……
何を隠そう、「このマンガがすごい!WEB」は、マンガの情報サイト! そんなわけで、アニメ『NEW GAME!』をさらに楽しみたいアナタに、読んでほしいマンガを紹介しちゃいますよっ。
『NEW GAME!』得能正太郎
『NEW GAME!』第1巻
得能正太郎 芳文社 ¥819+税
(好評発売中!)
『NEW GAME!』の原作は、「まんがタイムきららキャラット」にて好評連載中の4コママンガ。
舞台がゲーム制作会社なのは、作者の得能正太郎が実際に働いているからだそう。青葉やコウなどの女の子キャラが仲よく仕事に励む“ゆるかわ”な雰囲気には、アニメと同様に癒される。
しかし当然ながら、さぁ仕事! となったらキャラクターたちは真剣そのもの。青葉も一歩一歩、着実にキャラクターデザイナーとしての技術を身に着けていく。
初めて携わったゲームが完成したときの達成感や、そこから始まる新たな目標、さらには、先輩との埋まらない実力差に対する焦燥感……。
働く人の思いを受け止める熱量が、4コマからあふれ出す。
かわいいカオして、かわいいだけのマンガじゃないのが『NEW GAME!』の魅力だ。
『NEW GAME!』のコミカライズ以外に、このマンガもおすすめ!
『働きマン』安野モヨコ
『働きマン』第1巻
安野モヨコ 講談社 ¥570+税
(2004年11月22日発売)
女性が働く姿を描いたマンガといったら、『働きマン』は外せない。
週刊誌の編集部で働く松方弘子(28歳)は、いい雑誌をつくるために日夜奮闘。器用で仕事もプライベートもうまく乗りこなす上司の成田さん、気の置けない間柄で、グルメや風俗記事のエキスパートのこぶちゃん、普段はゆるゆるながら、いざというときにはビシッと決める梅宮編集長……。
いずれもクセモノぞろいの編集部のなかで、男に負けない働きっぷりを見せる松方は、まさに「働きマン」!
学生時代から付き合ってきた彼氏にフラれても仕事。
久しぶりに出かけた海外旅行先でも仕事。
同僚が心身を壊して休職しても仕事。
「あたしは仕事したなーーって思って 死にたい」
仕事ばっかりが人生じゃない。だけど、そこまで言い切れる松方はかっこいいと思う。
読めば働く意味を問わずにいられなくなる。読者の胸に熱い楔を打ち付けるようなマンガだ。
<文・片山幸子>
編集者。福岡県生まれ。マンガは、読むのも、記事を書くのも、とっても楽しいです。