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【日刊マンガガイド】『真・餓狼伝』第6巻 夢枕獏(作)野部優美 (画)

2014/07/27


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『真・餓狼伝』第6巻
夢枕獏(作)野部優美 (画) 秋田書店 \419+税
(2014年7月8日発売)


文明の時代・明治が訪れ、武術が廃れていくなか、なおも「実戦」にこだわり続ける男たちの激しい戦いを描いた、マンガオリジナルの新たな「餓狼伝」シリーズが、ついに終幕をむかえた。

夢枕獏特有の、緊迫感あふれる戦闘時の思考描写に、野部優美が描く肉感的なアクションシーンが見事に噛み合い、谷口ジローや板垣恵介が描いた過去のマンガ版「餓狼伝」シリーズに勝るとも劣らない迫力が生み出された。
さらに、体調管理によって万全のパフォーマンスを発揮する主人公の描写など、明治という時代を舞台にしながらも、「トレーナーの重要性」に焦点を合わせた、過去の作品群にはないストーリーも見どころのひとつだ。

また本作は、武術の才能に恵まれた主人公・丹波文吉と、武術知識に長ける父・久右衛門による、親子二人三脚の成長記という一面もある。
最終巻で明かされる、最大の謎であった講道館創始者・嘉納治五郎と久右衛門をめぐる確執の真相。
そのなかで描かれる深い親子愛は、登場人物たちの肉が裂け骨が折れる、格闘描写満載の作品を読んでいることを忘れてしまうほど、読者をハートフルな気分にさせてくれるだろう。



<文・一ノ瀬謹和>
涼しい部屋での読書を何よりも好む、もやし系ライター。マンガ以外では特撮ヒーロー関連の書籍で執筆することも。好きな怪獣戦艦はキングジョーグ。

単行本情報

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