日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!
今回紹介するのは、『ジャジャジャジャーン!』
『ジャジャジャジャーン!』 第1巻
田中マコト 講談社 ¥400+税
(2016年7月15日発売)
音楽室の壁に飾られた作曲家の肖像の目玉が動く……という“学校の七不思議”を聞いたことがある人は少なくないはず。そんな定番の都市伝説をマンガにしたのが本作だ。
だれもいない音楽室の壁から「よっこらしょ」と現れて、おもむろにピアノの前に座るのはベートーヴェンさん。しかし、「ジャジャジャジャーン!」という擬音語だけでだれもが「あ、『運命』ね」とわかるって、頭抜けたキャッチーさではないだろうか。
クラシックとかロックを超えたポピュラリティを感じずにはいられない!!
死んだあともクソまじめに作曲に向かうベートーヴェンをはじめ、チャラい遊び人風のモーツァルト、金にうるさい巨匠・バッハ、気が小さくて挙動不審なシューベルト等々、教科書に出てくる大作曲家たちが続々登場、深夜の音楽室で繰り広げるボケツッコミに爆笑必至だ。
まっとうな音楽の知識を下敷きにしたギャグである本作を読めば、クラシックに興味のなかった人も親近感を持てるはず。
「芸術家」と称される彼らは純粋なる音楽の探求者であったにしても、ウケたい、売れたい、もうかりたいと思っていたのは現代のミュージシャンと同じ。
彼らの人間くさい一面を入り口に、本作に登場するタイトルを聴いてみてほしい。
<文・粟生こずえ>
雑食系編集者&ライター。高円寺「円盤」にて読書推進トークイベント「四度の飯と本が好き」不定期開催中。
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