『新ナニワ金融道 青木雄二物語』第1巻
青木雄二プロダクション 扶桑社 556+税
本日7月28日は、7(な)2(に)8(わ)とあてられることで「なにわの日」とされている。
「なにわ」というフレーズで一番最初に思いつくマンガといえば、やはり青木雄二『ナニワ金融道』しかないだろう。
『ナニワ金融道』はタイトルのとおり、ナニワの街を舞台に、消費者金融「帝国金融」と債務者たちの駆け引きを描く、ドラマ化もされた青木雄二の代表作。法律の隙を突いた騙し合いや裏切り、借金にまつわる人生の転落劇などの、容赦ない表現で話題をさらった。
2003年に青木が逝去すると、2007年からは、青木のスタッフたちが引き継ぐかたちで、青木雄二プロダクションが執筆する続編『新ナニワ金融道』が描かれた。
本編が一段落した現在は、なんと原作者・青木雄二の半生を描く伝記的ノンフィクション作品『新ナニワ金融道 青木雄二物語』が連載中。
本作は、青木プロダクションに所属するスタッフの視点から見た青木の回顧録という体裁でありながらも、「ナニワ金融道」シリーズが持つ、独特のシニカルさは健在。一歩引いた視点から、師である青木雄二を赤裸々に描写する。
功績だけを褒め称えるタイプの堅苦しい偉人伝ではなく、しっかりと『ナニワ金融道』の1エピソードを読んでいる気分にさせてくれる。
<文・一ノ瀬謹和>
涼しい部屋での読書を何よりも好む、もやし系ライター。マンガ以外では特撮ヒーロー関連の書籍で執筆することも。好きな怪獣戦艦はキングジョーグ。