日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!
今回紹介するのは、『異世界居酒屋「のぶ」』
『異世界居酒屋「のぶ」』 第2巻
蝉川夏哉(作) ヴァージニア二等兵(画)
転(キャラクター原案) KADOKAWA ¥580+税
(2016年7月4日発売)
夏だ。でも仕事ばっかしている。
なのに締め切りを破ったりしている。
オトナ失格なのである。
こんな予定じゃなかった、夏の日の2016……。
私だって、夏の扉を開ける気満々なのに!
松田聖子ばりに「このままどこか連れて行って」とか、ヨユーでいえるのに?
GLAY以上に、ここではないどこかへと胸を焦がす日々。そしたら、マンガで「ここではないどこか」に行けるっつーじゃないですか。
『異世界居酒屋「のぶ」』の舞台は、京都の街角に店を構える「居酒屋のぶ」。大将ののぶさんと、看板娘のしのぶちゃんが切り盛りする、酒と料理のうまい居酒屋だ。
しかし、この店には秘密がある。なんと、異世界へとつながっているのだ。
裏口は現実世界(=京都)、表口は異世界(=中世ヨーロッパ風の街並み)とつながっている。
当然、のれんをくぐってやって来るお客さんは異世界の住人たち!
衛兵に聖職者、水運ギルドのマスターに鍛冶職人に貴族に……。まるでロールプレイングゲームのキャラクターみたいなかっこうをした常連たちには「トリアエズナマ」が大人気だ。
「トリアエズナマ」とは、生ビールのことですよ。こちらの世界ではぬるいビールが主流らしく、キーンと冷えた生ビールが珍しいんだって。
第2巻でも、異世界の常連たちはキスの天ぷらにオムそば、イカそうめんにイカリング、あゆの塩焼き……と、いわゆる「日本のフツーの居酒屋メニュー」に舌つづみ。
渋いメニューだけじゃなくてオムそばが出てくるあたり、めっちゃいい店でしょ。
異世界の常連さんたちも、すっかり「居酒屋のぶ」の楽しみ方をマスターしちゃって、酒盗で「レーシュ」(冷酒)をキュッとやる仕草もお手のもの。
うまい酒と肴の魅力は万国共通! いや、異世界共通?
現実世界には、頑張らなきゃいけないことがたくさんある。
だから、たまにはマンガで異世界へトリップしたっていいじゃない。
ビバ『異世界居酒屋「のぶ」』!
別バージョンのマンガ『異世界居酒屋「のぶ」しのぶと大将の古都ごはん』はコチラ!
<文・片山幸子>
編集者。福岡県生まれ。マンガは、読むのも、記事を書くのも、とっても楽しいです。