365日、毎日が何かの「記念日」。そんな「きょう」に関係するマンガを紹介するのが「きょうのマンガ」です。
2月8日はにわとりの日。本日読むべきマンガは……。
『こっこさん』
こうの史代 宙出版 ¥724+税
2月8日は「2(に)」と「8(わ)」の語呂あわせで「にわとりの日」である。
福岡県福岡市に本社を置くトリゼンフーズ株式会社が制定した記念日だ。
養鶏から販売まで手がける同社は、ふだんなにげなく食べている鶏肉に命をいただいているとの意識を持ち、 同記念日を定めたという。
特に今年は酉年なので、われわれも鶏への感謝を新たにしたいところだ。
さて、鶏が出てくるマンガとしては、『こっこさん』(こうの史代)がオススメ。
小学生のやよいは、学校の帰り道を大きなにわとりにふさがれて、ついつい給食の残りをあげてしまう。
すると、にわとりは家までついてくる。母親からは「捨ててきなさい」といわれるが、情が移ったやよいは、にわとりを飼うといい出すのであった。
そしてやよいは、この大きなにわとりを「こっこさん」と名づけ、家で飼うことに。
目つきが悪く、凶暴だが、なぜかやよいに懐いたこっこさんが、家族にドタバタを巻き起こす。
こっこさんのいる、普通の日常が始まる。
『こっこさん』の連載期間は1999~2001年(芳文社「まんがタイム ジャンボ」に掲載)。
こうの史代作品といえば、現在、アニメ映画『この世界の片隅に』(原作は2007~2009年に双葉社「漫画アクション」に掲載)が大好評ロングラン上映中で、戦時下の日常描写が特に好評を博している。
しかし、こうの史代の日常描写は、初期作品の『ぴっぴら帳(ノート)』や本作『こっこさん』の頃から色濃く描かれている。
作品を楽しむだけでなく、作家的ルーツを探る意味でも、そしてにわとりを愛する意味においても、きょうは『こっこさん』を手にとってほしい。
<文・加山竜司>
『このマンガがすごい!』本誌や当サイトでの漫画家インタビュー(オトコ編)を担当しています。
Twitter:@1976Kayama