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『コウノドリ』第8巻 鈴ノ木ユウ 【日刊マンガガイド】

2015/04/11


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『コウノドリ』第8巻
鈴ノ木ユウ 講談社 \562+税
(2015年3月23日発売)


コウノドリの紹介文に「出産は病気ではない。だから通常の出産に保険はきかない」とかかれている。
出産を身近に体験した人にとっては当たり前のことかも知れないが、出産に縁遠い人にとっては、この一文ですら、「え、そうなの?」と思ってしまう。
身近な話題でありながら多くを知らず、身近な話題だからこそ昔から言い伝わっている根拠のないことを信じてしまっている。
コウノドリはそんなことを説教くさくならず、そして押しつけにもならず、物語の流れのなかで教えてくれる。

第8巻では、つわりの原因、流産の確率、マタニティブルー、出産予定日、研修医の給料の話などが出てくる。
どれも聞いたことがあるようで、でも詳しくは知らなかったり、実際に知っていることとは違ったりしている。
たとえば、マタニティブルーは妊娠中に起こる妊婦の精神状態に思う人が多いが、実際は産後2週間くらいに起こることだという。これが長く続くと「産後うつ」になるのだ。
こういう勘違いの重なりが妊婦に負担をかけ、育児にも無理解になったり、間違った手段をとってしまうのかもしれない。

ちょっと気になるのが、主人公である鴻鳥は児童養護施設で育った、謎のジャズピアニスト「ベイビー」の顔も持っているという設定。
これは実在の産科医・荻田和秀医師をモデルにしているのだが、最近ベイビーがらみの話が少なくてちょっとさみしい感じなので、今後はもっと活躍を期待したい。



<文・岡安学>
デジタルモノなどのガジェット系を中心に雑誌やWebで活動するフリーライター。元ゲーム誌編集者で、ゲームやアニメ、マンガなどのメディアも守備範囲。ソフトとハードのどちらもこなす。現在、生活総合情報サイト「オールアバウト」にてデジカメのガイドも務める。

単行本情報

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