日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい！WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー！

今回紹介するのは、『ブラック彼女』

『ブラック彼女』 第3巻
吉原雅彦 KADOKAWA ￥550+税
（2017年2月23日発売）

クレイジーな奴ら大集合のサスペンス。主人公・星野テルの受難がハンパじゃない。

天宮ミドリ。テルの同級生で、二重人格者。ふだんは優しく、テルとはいい仲。
しかし人格が変わり「ミッちゃん」が出てくると、笑顔で相手を傷つける残忍な少女に豹変する。

火鳥リリ。テルのことが好きでしかたない恋する乙女。
ただ、好きすぎて、頭から漂白剤をかぶったり、家に放火したりする、タガのはずれた子。
それでもテルに協力的なため、いっしょにいることが多い。

月岡先生。テルの担当教師。ドライバーで相手の目を執拗に狙う殺人鬼。
友好的な性格ではないが、愛する娘のために、困っているテルに力を貸す。

第3巻では、テルといっしょに、前の巻で行方不明になった天宮ミドリを探す刑事・水守が登場。
一見優しいお姉さんだが、彼女は人が苦しんでいるのを見るのが大好きな、生粋のサディスト。
またもやテルは巻きこまれる。

もうテルのまわりは変人しかいない。 どうも「ミッちゃん」がテルに関わっていることが、問題児の集まる大きな原因のひとつのようだが、今のところは理由がはっきりしていない。

それでも全員、いちおうはテルを助けてくれるクレイジーさんたち。
人殺しや暴行犯と、プールにいったり食事をしたりお祭りに行ったり。
いっしょに仲よく過ごす（ように見える）光景は、なんとも妙だ。

第3巻後半ではまた別のヤバそうなお嬢様が登場。
テルは命の危機にさらされっぱなし。

彼は巻数を重ねるごとに、策を練り、タフに生きていく術を身につけ始める。
メンタルも強くなり、特にミッちゃんやリリといっしょにいても動じなくなったどころか、2人を守ろうとするほどに成長。または慣れてきている。

考えてみればサイコなキャラクターたちは、みんな自分に素直すぎるから危険なわけで。
登場人物たちの、ある意味裏表ない無邪気さによって、不思議と信用できる空気になってしまっているから、このマンガは怖い。

＜文・たまごまご＞
ライター。女の子が殴りあったり愛しあったり殺しあったりくつろいだりするマンガを集め続けています。
「たまごまごごはん」