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『地獄のガールフレンド』第1巻 鳥飼茜 【日刊マンガガイド】

2015/05/03


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『地獄のガールフレンド』第1巻
鳥飼茜 祥伝社 \680+税
(2015年4月8日発売)


『おんなのいえ』『先生の白い嘘』で話題を集める、鳥飼茜の新連載の単行本第1巻。

結婚に疲れ、自分からお金もなんもなしでリコンをお願いしたバツイチシングルマザーでフリーイラストレーターの加南。初めての男が妻子ありの不倫男で、彼に捨てられた後、長らくセカンドバージン状態のまじめOL・悠里。かわいい洋服とおいしいものとかわいい男の子が好きで、自分以外の女の人には興味のない超モテ股ゆる女の奈央。
年齢も職業もキャラもバラバラの女性が、ひょんなことから同居することで本音をさらけ出し、自らの問題に対峙しながら互いを認め、成長してゆく――というストーリーに、辛辣なフェミニズム的問題提起を盛りこんでくるあたり、ドラマ『問題のあるレストラン』を彷彿させたりもするが、全体的なタッチはあくまで軽妙かつコミカルゆえ、『東京タラレバ娘』よろしく、おもしろおかしいガールズトークものとして楽しめるのがミソ。

ごはんを食べながらのおしゃべりのなかで、互いの人生を比較し、安心したり、うらやましがったり。
「女の人生比較」というと、マウンティング的なものを想像しがちだが、彼女たちの場合は、いい意味でキャラも土俵も違いすぎるがゆえの、肩の力のぬけた本音トークが楽しい。

「正直 若い女扱いはもう疲れたしぬけたい」
「え~私はチヤホヤされたい!」
「かわいがられたいって気持ちが捨てられたら 女の人生 たしかに楽そうではあるかな…」
てな会話に、「そうそう、そしたら70、80歳でまたかわい気出てくるから」と無理から介入してくる、鹿谷くん(処女厨という設定ゆえ、イケメンだが男として対象外という絶妙キャラ)も最高!

「こういう時 誰かに笑ってもらえたら 私をお母さんって呼ばない誰かに」
「処女のヒトってさぁ、エネルギーが出口うしなった自分の体パンパンにみなぎってる感じ」
など、鳥飼作品ならではの生々しく説得力あふれる名セリフ(そのままドラマ化できそう!)も満載。

「世間さま」におびえ、無意識のうちに憎しみあわされてしまっている女たちよ、今こそ「正論」を笑いとばし、ともに手をとりあうべし!



<文・井口啓子>
ライター。月刊「ミーツリージョナル」(京阪神エルマガジン社)にて「おんな漫遊記」連載中。「音楽マンガガイドブック」(DU BOOKS)寄稿、リトルマガジン「上村一夫 愛の世界」編集発行。
Twitter:@superpop69

単行本情報

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