『童貞女子会へようこそ!』
ひぐちさとこ KADOKAWA
(2015年5月23日発売)
“童貞”女子とは「童心を忘れない・貞淑な女子」の略称。とにかく子どものように、好きなことにとことん打ちこむ女子(モテとは無縁=ゆえに貞淑にならざるをえない!?)のことなのだ。
主人公(=著者)のさっちゃんは、とにかく多趣味。手芸、アニメやマンガをはじめ、サボテンに夢中になったり、幼い頃から血道を上げるシルバニアファミリーのコレクションもハンパじゃない。
登場する友人たちはBL好き、ジャニオタ、ビジュアル系と二次元が好きなコスプレイヤー、昭和のアイドル&レトロ趣味……とそれぞれなのだが、そんな彼女たちは「のめりこんで遊べる無邪気な心の持ち主」という共通項で結ばれていて。
実験器具にハマれば、さっそくみんなで東急ハンズへGO! ビーカーでわかしたお湯でチキンラーメン作ったり、試験管にシロップで色をつけたソーダを注いで「飲んだら変身しそうでヤバイ!!」と盛り上がったり。はてはアルコールランプでスルメをあぶったりと、大人遊びが止まらない。
ダンボールそり大会を開き、好物の展示即売会に出かけ……どこへ行ってもノリノリ、また各々の趣味の専門領域を活かして楽しみを見出す童貞女子会は、めっちゃ楽しそうなのである。
いやはや、たったひとりのときでも、アイスについてきたドライアイスをスモークに見立てて中島みゆきごっこに興じる著者は……これがホントのひとり上手!? 地味ながらアッパー、どんなときでも妄想力で楽しさを見つけてしまう童貞女子に「退屈」の二文字はないのだ!
<文・粟生こずえ>
雑食系編集者&ライター。高円寺「円盤」にて読書推進トークイベント「四度の飯と本が好き」不定期開催中。
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