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『漫画家ごはん日誌』はらぺこ編集部 【日刊マンガガイド】

2015/06/05


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『漫画家ごはん日誌』
はらぺこ編集部 祥伝社 \800+税
(2015年5月8日発売)


 

活躍中の漫画家総勢50名が、日頃の“ごはん事情”をリアルに綴った「フィール・ヤング」の人気連載が単行本になった。

グルメにジャンク、ロハスなど、全方位的な感じで食ブームといわれる昨今。
もはや「食エッセイマンガ」も飽和状態といえるが、50人でテーマ自由となれば、さすがにバラエティに富んでくるわけで。絵も語り口も「作品」とはまた違い、あとがきマンガよろしく、あくまでラフでゆる~くリラックスしたタッチなだけに、その人その人の素顔が覗えて楽しい。

日々締め切りに追われ、一日中机に座りっぱなしの超不規則&運動不足の漫画家とはいえ、思い出ごはんにおすすめ料理、おふくろの味、ソウルフード、旅メシ……etc、取りあげるネタもさまざまなら、「食べること」に対するスタンスもさまざま。
野菜たっぷりのヘルシーな自炊生活をしている人もいれば、プロテインやガムで生きているような人もいて、やはり食って人間がでるなあ……と感心してしまう。

なかでも「修羅場メシ」は、やはり鉄板のおもしろさ!
夜中に猛烈にパンが食べたくなってパン粉にバターを落して焼いた(ねむようこ)とか、ピンク色の消しゴムが無性においしそうに見えた(河内遥)とか、この飽食の時代にこんな極限状態を強いられる漫画家って……と絶句すると同時に、妙にワクワクしてしまう。

「空腹は最高のスパイス」という言葉があるが、なるほど非常時にはなんてことのない料理も最高のごちそうになるわけで。
村上かつらの「どたばたチキンカレー」に猛烈にそそられるのも、そのシチュエーションゆえであり、「マンガのなかで描かれる食」の魅力も、つまりはそういうものなのだろう。

羽海野チカ×鳥野しのによる巻末対談も最高。鳥野先生の食べ残しの弁当を漁ったとか、あんなに素敵でおいしそうなごはんを描く羽海野先生が、イメージ裏切りすぎですよ……。

この連載、現在も続行中ゆえ、続編にも大いに期待!



<文・井口啓子>
ライター。月刊「ミーツリージョナル」(京阪神エルマガジン社)にて『おんな漫遊記』連載中。「音楽マンガガイドブック」(DU BOOKS)寄稿、リトルマガジン「上村一夫 愛の世界」編集発行。
Twitter:@superpop69

単行本情報

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