『少女政府 ベルガモット・ドミニオンズ』第4巻
高田慎一郎 ほるぷ出版 ¥600+税
(2014年8月12日発売)
ある日、世界各国の少女たちが急に異世界に招集された。それも本人の意向は無視、かなり強引に。
そこは妖精王オベロンから逃げ出し、独立を目指す妖精たちの国。彼らは魔力はあるものの、文化を持っていない。人間たちをじかに呼んで、独裁者になって文化を教えてもらおう、と彼女たちを文明社会から召喚したのだ。
妖精世界は本当になにもない。しかもみんな気まぐれで秩序はめちゃくちゃ。
彼女たちはこの世界に、ルールを作り、経済概念を教え、インフラを整えはじめる。
このマンガには2つのターンがある。ゼロからの建国活動ターンと、妖精たちを襲ってくるオベロン軍との戦闘ターンだ。
戦闘ターンでは、妖精の力を借りて少女たちが変身、魔法全開の能力バトルになっている。
建国ターンでは社会を形成するために必要なことを、まだ幼い彼女たち自身の力で考えながら、一歩ずつ成し遂げていく地道な活動が描かれる。
このメリハリで少しずつ国策と、少女たちへの妖精国民の支持が高まって、政治の基盤ができていくのがおもしろい。
ひとつ気になるのは、こんなにむちゃくちゃな状態で、ほぼ妖精に拉致られているというのに、あまり少女たちが気にしていないこと。
1巻の最初だけ見ると違和感があるが、読んでいくと次第に「この国でみんなと世界を変えていく」楽しさを見つけているのがわかる。
そもそも呼ばれた世界中の少女たちは、全員楽観的。ポジティブ思考の子たちが大集結しているため、見ていてたいへん気持ちいい。
4巻は最終巻。国としての成立、というまとまりまでいくのは当然不可能で、過渡期のままだ。それでも国が秩序を持つ大切や楽しさを少女たちが感じ取っていくのが感じられる。
エンタメ政治経済マンガとしてオススメできる作品だ。
<文・たまごまご>
ライター。女の子が殴りあったり愛しあったり殺しあったりくつろいだりするマンガを集め続けています。
「たまごまごごはん」