話題の“あの”マンガの魅力を、作中カットとともにたっぷり紹介するロングレビュー。ときには漫画家ご本人からのコメントも!
今回紹介するのは『このマンガがすごい! comics バック・トゥ・ザ・フューチャー コンティニュアム・コナンドラム』
『このマンガがすごい! comics バック・トゥ・ザ・フューチャー コンティニュアム・コナンドラム』
ボブ・ゲイル(監) マルセロ・フェレイラほか(画) 宝島社 ¥1,850+税
(2017年5月27日発売)
『バック・トゥ・ザ・フューチャー PART.2』の劇中でマーティ・マクフライ(マイケル・J・フォックス)とドクことエメット・ブラウン(クリストファー・ロイド)、マーティの恋人ジェニファー(エリザベス・シュー)の3人が1985年から向かった「未来」にあたる日である2015年10月21日に、アメリカ本国では『バック・トゥ・ザ・フューチャー』(以下、『BTTF』)のオフィシャルコミックス『バック・トゥ・ザ・フューチャー アントールド・テールズ』(原書タイトル『BACK TO THE FUTURE COMIC SERIES Untold Tales and Alternate Timelines』)が発売された。
『BTTF』初のオリジナルストーリーであり、「アントールド・テールズ(語られなかった物語)」というタイトルのとおり、劇場版3部作をベースに、劇中では語られなかったキャラクターの過去やエピソードを5冊のミニシリーズ(全9話)で展開。この連作短編は『BTTF』ファンからも好評を博し、シリーズとしての通しナンバーを継続するかたちで、満を持して『BTTF』の長編ストーリーがスタートする。
(アメリカのコミックスは、1話あたり20ページ前後の薄い冊子=リーフというかたちで出版される。シリーズにはこのリーフに通し番号がふられており、『BTTF』のコミックスシリーズは、短編が5冊出版され、その後6冊目から長編シリーズとなった)
それが今回紹介する『バック・トゥ・ザ・フューチャー コンティニュアム・コナンドラム』(原書タイトル『BACK TO THE FUTURE COMIC SERIES Continuum Conundrum』)だ。
物語は、『バック・トゥ・ザ・フューチャー PART.3』の直後、時代設定的には1986年からスタート。ドクとともに、1955年の過去、2015年の未来、そして1885年の西部開拓時代という時空を越えた冒険を重ねたマーティは、過去から戻ってきたあとにまた平穏な日々を送っていた。親友のドクは1885年に新しい家族をつくり移り住んでしまったがために、ドクのもとで刺激を受けていたマーティは明るい未来に変わった現実のなかにいながらも、もの足りない鬱屈した気持ちが晴れなかった。
しかし、そんな思いを振り払うような出来事が起こる。西部開拓時代に住むドクの妻であるクララが、1893年からマーティにあてて送った手紙が届いたのだ。そこには、「ドクが未来へタイムトラベルし、そのまま消息を絶ってしまったから助けてほしい」というメッセージが書かれていた。
その手紙を読み、再び冒険の予感を感じたマーティは、ジェニファーとともにドクが所有していた研究室を訪れ、彼を探すための手がかりを探そうとする。そのタイミングで現れたのは、海から遠い場所にいるのになぜか潜水服に身を包んだドク自身だった。目的であるドクを発見することができたものの、彼はマーティのことを覚えていないどころか、自分がなぜここにいて、何をしようとしていたのかさえわからない記憶喪失状態。しかし、記憶喪失は重度のものではなく、きっかけがあれば断片を思い出すというものであり、マーティは少しずつ甦るドクの記憶をもとに、彼が何をしようとしていたのか探索を始める。その結果、ドクは2035年の未来に向かい、そこで何らかの事件に巻きこまれて記憶を失ったことが判明。
かつて行ったことがある2015年よりもさらに先の未来、2035年の世界でいったい何があったのか? マーティはドクとともに、タイムトラベルの理由と記憶喪失の原因を探るべく、4度目となる「未来へ戻る」冒険へと旅立つのだった。