『東京闇虫 -2nd scenario- パンドラ』第3巻
本田優貴 白泉社 \617
(2014年5月29日発売)
著者の代表作『東京闇虫』の続編。
借金地獄に陥った若者が腹ばいになるような、生々しいアングラ作品――かと思いきや、どんどんトリッキーな方向に加速して収集がつくなかくなる。そんな前作の妙な魅力を引き継いでいる。狂言回しとして、前作のキャラクター・浅村も再登場。
今作の主人公・野々宮は、ごく一般的な25歳のサラリーマン。だが、謎の男・浅村と出会ったことで、野々宮は「パンドラの箱」を開けてしまう。
手を出した瞬間に犯罪者となる援交少女に、本気で惚れてしまうくだりには、思わず筆者も感情移入してしまった……。
それにしても、野々宮の会社の後輩・高橋のキャラクターがいい。清々しいほどのクズっぷりで存在感が際立っている。
軽薄な表の顔と対照的などす黒い残虐性たるや!
えげつないシチュエーションに胸が悪くなりつつも、胸のすく展開も。
今巻では、野々宮のことをコケにし続けた高橋に、ついに逆転現象が!?
禁断のページを繰る手が止まらない!
<文・奈良崎コロスケ>
68年生まれ。東京都立川市出身。マンガ、映画、バクチの3本立てで糊口をしのぐライター。中野ブロードウェイの真横に在住する中央線サブカル糞中年。
個人サイト ドキュメント毎日くん