『ギャングース』 第4巻
肥谷圭介(画) 鈴木大介(協) 講談社 \596
(2014年5月23日発売)
まず初めに言っておきたいのは、このマンガをいわゆる“ヤンキーもの”と勘違いして敬遠している人は確実に損をしている、ということ。
もちろん本作はフィクションではあるが、世界観やキャラクターは「どうしようもない貧困や劣悪な環境から犯罪に手を染めてしまう少年少女たち」という厳しい現実に根ざしており、かつ、その状況にも折れない主人公たちには、言ってしまえばクズではあるが、抗いがたい魅力を感じてしまうのである。
犯罪者が、より悪どい犯罪者から「タタキ(強盗)」で金を巻き上げるという行為はまったくもって褒められたものではないのだが、リアリズムあふれる犯罪描写と、どこか間の抜けたカズキ、サイケ、タケオたちのキャラクターが絶妙なバランスで、ぐいぐい物語に引き込まれる感覚がある。
ただ、この第4巻では、バカラ賭博のくだりは若干、これまでの作風からすると「マンガっぽすぎる」ようにも感じられる。しかし、それを差し引いても、投資詐欺グループに加担するサイケの知人・洋介の行く末を含めた、これからの展開からは目が離せないだろう。
なにかと「闇社会のウラ知識」ばかりが取り沙汰されることの多い本作だが、ごくふつうに「マンガというエンターテインメント」しておもしろいことを、あえて声を大にして伝えておきたい。
<文・大黒秀一>
主に『東映ヒーローMAX』などで特撮・エンタメ周辺記事を執筆中。過剰で過激
な作風を好み、「大人の鑑賞に耐えうる」という言葉と観点を何よりも憎む。