日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!
今回紹介するのは、『ななかさんの印税生活入門』
『ななかさんの印税生活入門』 第1巻
kashmir 芳文社 ¥819+税
(2017年2月27日発売)
物書きの両親がいる女子中学生ななかさんが、ラノベ作家を目指して創作を始める。幼なじみのみきちゃんや、ななかさんたちが放課後に集まる美術部の唯一の部員まいさん、美術部顧問の永山先生たちを中心に、のほほんとした中学生生活が描かれていく。
シリアスな傾向が強い『響~小説家になる方法~』とはまた違ったアプローチの「物書き」前夜の空気感が楽しい。
「主人公の特殊な才能を説明するために序盤の段階で公開決闘のシーンが必要」などの「ラノベあるある」を散りばめながら、みきちゃんの家にななかさんとまいさんでお泊まりをしにいったりするエピソードもあり、「創作」を重く扱いすぎないところがいい。
それでいて、
「決意だけはしたけど なにやっていいか まだわかんないし
やっぱり 勝手に手が 書いちゃうとか その域じゃないと だめなのかな…」
(気になるものがあるとすぐにスケッチし始めて、特に絵を描くことを意識していないというまいさんの発言を受けた、ななかさんのモノローグ)
のような、わかる人にはわかる、ちょっとチクっとするセリフもたまに出てくる。
美術部員のまいさんが、ななかさんの紡ぐ物語からどんな絵をつくり出すのかも含めて、彼女たちの関係が今後どう変わっていくのか、とても楽しみだ。
<文・永田希>
書評家。サイト「Book News」運営。サイト「マンガHONZ」メンバー。書籍『はじめての人のためのバンド・デシネ徹底ガイド』『このマンガがすごい!2014』のアンケートにも回答しています。
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