日々発売される膨大なマンガのなかから、 「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!
今回紹介するのは、『アレンとドラン』
『アレンとドラン』第1巻
麻生みこと 講談社 ¥429+税
(2017年3月13日発売)
女性弁護士の奮闘を描く『そこをなんとか』でおなじみの著者の新境地ともいえる本作!
マイナー映画をこよなく愛するサブカル女子大生・林田さんが、隣の部屋に住む1歳年上のリア充系男子・江戸川(エドガー)さんとの出会いをきっかけに、交友関係を広げ、恋を知っていく……であろう物語。
「コミュ力なくてマイペースなのがキャラとして許容されるありがたみ! ゆるキャラ枠最高!」とのたまわった林田さん、あなたは最高です!
林田さんの言葉は心につきささる。
「人に迷惑かけたくない」
「だったら一人のほうが楽」
「楽しくないけど楽」
田舎から東京に上京してきて、ひとり暮らしを始めて……便利な都会で趣味を満喫できる幸せに浸りながらも、ふとした瞬間に感じる孤独。
わかる! わかるよ!
サブカルこじらせた独り身の末路といったらね……。とても他人事には思えない(笑)。
でも、その孤独を埋める努力を、まだ若くて自由のある大学生の時から始められる林田さんは、とてもラッキーなんじゃないかな。
コミュ障ぎみのサブカル女子の背中を押してくれるエドガーさんの存在、うらやましすぎるぜ。
すっかりエドガーさんのバイト先のバーの常連になった林田さんは、エドガーさんに近況報告をしたり、グチりながら、大学での交友関係を広げようと自分なりにがんばる。そして、様々な人間と出会う。
エドガーさん目当てにバーに通うちょっと感じ悪い女子とか、映画サークルのオタサーの姫とか、そのオタサーの姫に群がる男とか。
なんだろう、この既視感。麻生みことの人間描写に驚かされる。
第1巻は、林田さんとエドガーさんがつきあうかもしれない(!?)という、ところで終わる。
どうする林田さん! 次巻もこうご期待!
<文・穂高茉莉>
楽器店店員。『このマンガがすごい!2016』、「このマンガがすごい!WEB」のアンケートに参加中。
最近少女マンガのレビューのお仕事もちょこちょこと始めました。