日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!
今回紹介するのは、『きのこいぬ』
『きのこいぬ』第7巻
蒼星きまま 徳間書店 ¥620+税
(2017年3月13日発売)
天涯孤独な絵本作家・ほたると、ある日突然現れた謎の生き物「きのこいぬ」との心温まる交流を描いた本作。ついに第7巻が発売された。
本作の魅力はなんといっても、「きのこいぬ」の愛らしさ。
寸胴でひょこひょこ歩き回り、たこ焼きが好物で、ケータイを使って周囲とコミュニケーションを図る。
まわり(主にほたる)の様子をうかがい、ときに落ちこんだり、ときに怒ったり。
見た目は犬だが、左耳にはきのこの「名残」があり、それもまたチャームポイントだ。
ページを開くたびに思う。はぁ~、かわいい。
第6巻のラストで、祖父母の墓参りに向かったほたる。
そこで、昔祖母ときのこいぬについて話していたことを思い出す。
もしかして、きのこいぬと祖母には深いつながりがあるのか――。
そんな含みを持たせたまま迎えた第7巻では、きのこいぬの誕生の秘密がついに明らかに!
そこに絡んでいたのは、祖母との大切な思い出。
それらを思い出したほたるは、あらためてきのこいぬの存在の大きさを感じることとなる。
……とはいえ、当のきのこいぬはあいかわらずのんきなもの。
海に入って泥だらけになるまで遊んだり、たこ焼き器をおねだりしたりとやりたい放題だ。
しかし、その胸にあるのはほたるの祖母から告げられた「あるひと言」。
それを知ると、きのこいぬの振る舞いもまた違って見えるだろう。
ここにきて、一段とハートフルさが増した本作。
きのこいぬとほたるの日々にいやされつつ、今日も思うのだ。
やっぱり、きのこいぬはかわいいなぁ。
<文・五十嵐 大>
83年生まれの、引きこもり系フリーライター。デスゲーム系やバトルもの、胸キュン必至の恋愛マンガやBLまで嗜む、マンガ好きです。マイブームは、マンガ飯の再現。