人気漫画家のみなさんに“あの”マンガの製作秘話や、デビュー秘話などをインタビューする「このマンガがすごい!WEB」の大人気コーナー。
今回お話をうかがったのは、やまもり三香先生!
「マーガレット」で連載中の、時代小説家×女子高生家政婦のひとつ屋根の下ラブストーリー『椿町ロンリープラネット』。
同作が『このマンガがすごい!2017』オンナ編第5位にランクイン、そして前作『ひるなかの流星』の実写映画が大ヒット公開中と、今もっとも勢いに乗っている少女漫画家・やまもり三香先生にインタビュー!
今回は、映画『ひるなかの流星』の感想や、ランクイン作『椿町ロンリープラネット』誕生秘話……などなど、てんこ盛りの内容をお届けいたします!
実写映画は原作者冥利に尽きる完成度!
――『ひるなかの流星』実写映画が公開になりましたが、映画を見てのご感想は?
やまもり 私個人の率直な感想としては、すごくおもしろかったです! キャラもストーリーも本当にそのまんまで、12巻分をこんな綺麗に入れられるんだなぁと驚きました(笑)。2時間のなかで収めなきゃいけないので少し駆け足なのは仕方ないですが、キャストさんたちの演技がそこを軽く感じさせないというか、ちゃんと説得力があるというか。あまりいうと自分の作品を褒めてるみたいであれなんですが、ちゃんと笑えるし、すごくキュンとするし、泣けるし、いっさいムダな部分がなく2時間ずっと飽きることなく観ていました!
――映画化に際してリクエストしたことはあったのでしょうか。
やまもり そうですね、「ビジュアルはできるかぎり寄せるようにお願いします」ということと、あとは尺の関係などで話の流れが変わってしまったり、エピソードが入らなければちょこちょこ省いてもらっても全然かまいません、とも伝えましたね。芽郁ちゃんも三浦さんも亜嵐くんも、それぞれみなさんが自分なりにマンガの役に近づけようと努力し、原作のことを考えてくれているのを見て、「初めての映画化がこの方々で本当によかったなぁ」と思いました。今はこの役者さん以外考えられないです。
――『ひるなかの流星』は、ヒロイン・すずめが獅子尾先生と馬村のどちらとくっつくのか最後までハラハラさせていただきました。
やまもり 連載を始める時に「いちおうヒーローは獅子尾で、だけど馬村もアリかな」ということは担当さんと話していました。けどそのうち獅子尾といるすずめより、馬村といるすずめのほうがいきいきと動くことに気づいたんです。それは馬村もしかりで、この2人だとお互い魅力が増すなぁと。それで本格的に馬村に決めたのがたぶん2巻あたりですね。
なので、馬村を3巻の表紙の真ん中に持ってきたり、6巻のクリスマス回の表紙に「恋人」を意味する花束を持たせたりしたんです。ちなみに、ゆゆかは「友情」の甘いケーキ、獅子尾は「大人の魅力」ということでそれぞれお酒を持ってます。
――連載時、馬村派と獅子尾派でだいぶ割れたのでは?
やまもり 最終回に近づくごとに「〇〇とくっつけてください!」という意見がたくさん寄せられて……ラストは決まっていたので読むのが申しわけなくて、一時期ツイッターに鍵をかけたこともあります。だけどあれって鍵をかけても自分のツイートが見えなくなるだけで、私に話しかけることはできるので結果的には意味がなかったですね(笑)。
――すずめ、馬村、獅子尾って動物の名前が入っていますよね。イメージを投影してつけたのでしょうか。
やまもり そうなっていますね。すずめは……前に連載していた『シュガーズ』という作品で、杏という子がいるのですが、あの話が自分のなかですごく楽しかったので、そういう子をまた描きたいなーと思って作りました。
基本的にぼーっとした子が好きなので。獅子尾は書いて字のとおりライオンのようなハッキリした顔立ちで、人の中心にいるような明るくてどこか憎めないキャラに、馬村は見た目も性格も正反対に、主人公を癒してくれるようなキャラになればなぁと思って描きました。描いていくうちにだいぶ変わっていきましたが(笑)。
――これから実写映画を観る方々に、オススメの見どころを教えてください。
やまもり 本当にたくさんあるのですが、マンガでいうと10巻ですずめが朝馬村の家の前まで行くシーン! 個人的にあそこがすごくよかったです……! 馬村のかわいさが初めてわかった気がします。最後、すずめが獅子尾に本当の気持ちを告げるシーンも思わず目頭が熱くなってしまいましたね。「獅子尾ー!」って心のなかで叫びました(笑)。あと全体を通してのゆゆかとすずめの友情が本当によくて、あの2人だけのシーンだけを別に2時間観ていたいくらいです(笑)。
――原作者による太鼓判! 観るのがよけい楽しみになりました。
やまもり この映画で『ひるなか~』に興味を持ってくださった方は、ぜひ原作も読んでみてください! 映画の余韻に浸れると思います。そして個人的にはマンガを知っている方にこそ、この映画を観てほしいと思っています。「ここはこのシーンだ!」「ここはこう表現されてるんだ!」っていうのが本当にたくさん詰まっていて、とても楽しく観れるんではないかと思います。なので興味を持った方は、ぜひ観てみてくださいね!