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【インタビュー】やまもり三香『ひるなかの流星』笑えて、泣けて、きゅんとする。実写映画は原作者冥利に尽きる完成度! 

2017/03/30


ヒロインは武士の嫁のような子であれ!?

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――『椿町ロンリープラネット』が『このマンガがすごい!2017』オンナ編5位にランクインしました。おめでとうございます!

やまもり まさかこんなランキングに入れるとは……という感じです。本当に恐縮しまくりで、今でも何かの間違いじゃないかと思っております。選んでくださったみなさまに感謝です。

――本作は、どのような構想からスタートしたのでしょうか。

やまもり ひとつ前に連載していた『ひるなかの流星』が男の子2人だったので、今回は最初から1対1に絞ってつくってみようと思ったのがきっかけです。また、『ひるなか』が洋風だったので今回は和風にしてみようかな、と。
とにかく前回とは違う感じにしようと思って。だけど結局年上で、種類は違えど先生だったりと、結果的に似たものが揃ってしまいました。

――本作で「椿」をモチーフにした意図は何かありますか?

やまもり 深い理由はないんです、赤くてパッと目を引く花が昔から好きで、それでなんとなく。

――そうでしたか。では、椿町という町は、どこかモデルにした場所があるのでしょうか。暁が住んでいるクラシカルなお家も気になります。

初めて訪れた際には、ふみもテンションがあがった、椿町3丁目にある趣深い一軒家。ここで暁との生活が始まった。

初めて訪れた際には、ふみもテンションがあがった、椿町3丁目にある趣深い一軒家。ここで暁との生活が始まった。

やまもり 椿町は「なんとなくここ!」という場所はないんですが、最近は地元石川県の主計町の雰囲気がいいなぁと思っていて。あそこらへんをお手本にしようかと思っています。すごくいまさらですが(笑)。
家は、連載が始まる前にそういった古い建物を取材させてもらったり、資料をもとにしたりしています。

――いいお家ですよね。では次に、キャラクターについておうかがいします。暁を時代小説家にしたのはなぜですか?

やまもり この設定は、連載が始まる直前に決めました。ギリギリまでドイツ語翻訳家か小説家か迷っていたのですが、翻訳家さんの知識があまりなかったのと、なんとなく和風にしたかったので、結局時代小説家にしました。

第1話より、ふみと暁の出会いのシーン。ぶっきらぼうな暁の第一印象は最悪だが……。

第1話より、ふみと暁の出会いのシーン。ぶっきらぼうな暁の第一印象は最悪だが……。

――ふみも和風が似合うというか……見た目はかわいいのに、所帯くさいギャップが魅力です。どこか古風で、制服のスカートもマジメな丈ですね!

やまもり 基本、校則は破らない性分ですね。ふみを描く時には、性格面でいえば女の子らしく、細かいところを忘れないように気をつけています。たとえば2巻で暁にお金を渡された時にちゃんと袋に入れていたりなど。あとはヘアアレンジもどこか大人っぽくしています。

初給料にはしゃぐふみ。しっかり者だけれど、しぐさや髪形など、“女の子”な感じがかわいらしい。

初給料にはしゃぐふみ。しっかり者だけれど、しぐさや髪形など、“女の子”な感じがかわいらしい。

――態度はひかえめで礼儀正しいけど、母のように強いところがありますよね。

やまもり  精神年齢が高い子だなぁと思っています。お母さんキャラというか、お婆ちゃんキャラというか……。でもいうところはきちんという、武士の嫁のような子であれ、と思って描いています。

ちょっとオカンなふみ。将来はいい奥さんになりそう。

ちょっとオカンなふみ。将来はいい奥さんになりそう。

――まさに暁にぴったり!? 暁は人づきあいでは著しく不器用ですが、当初から「家政婦として雇ったふみを守る」ということを名言しているのは、どのような気持ちからだったのでしょうか。

やまもり そうですね、暁は人づきあいは下手だけど面倒見がよかったり、責任感はあるので、あそこは保護者目線だったと思います。あとはどこかふみと自分を重ねて見ているところもあるので……そういう気持ちからだと思います。

暁のふみに対する心情が明かされるモノローグ。出会ってからの2人の心の距離、存在感の変化が、このモノローグに凝縮されている。

暁のふみに対する心情が明かされるモノローグ。出会ってからの2人の心の距離、存在感の変化が、このモノローグに凝縮されている。

――5巻では、暁のこれまでの女性遍歴が明かされましたが、暁の性格が形成された過去や、悟郎との学生時代のエピソード、また小説家デビューに至るエピソードなど描く予定はありますか?

やまもり 出てくる予定です。そういう部分が一番大事なのでうまく描けるかわかりませんが、がんばります……!

―キャラを描く時には、どんなことを意識していますか? たとえば性格とビジュアルの関係など。

やまもり うーん、なんとなくいそうな人を描くように心がけてます。ファッションもそのキャラによって分けたりして、ふみはOLっぽく、洋ちゃんは少しギャルっぽく……とか。
あと、キャラを描く時は、毎回「世界で一番かわいく(かっこよく)描く!」と、自己暗示をかけています。やはり自分のキャラを一番素敵に描いてあげられるのは、作者だけなので。

――これからもステキなキャラクターが見れることを楽しみにしています。やまもり三香先生、ありがとうございました!

インタビュー第2弾は、4月3日を予定。『椿町ロンリープラネット』の胸きゅんシーンや最新第7巻の見どころ、やまもり三香先生のデビューまでの道のりなどなど、内容盛りだくさんのインタビューをお届けします。お楽しみに!

『椿町ロンリープラネット』は現在第7巻まで好評発売中!

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取材・構成:粟生こずえ


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