365日、毎日が何かの「記念日」。そんな「きょう」に関係するマンガを紹介するのが「きょうのマンガ」です。
10月16日はボスの日。本日読むべきマンガは……。
『わたしの上司』第1巻
田島みみ 集英社 ¥419+税
10月16日は「ボスの日」。
アメリカ発祥の記念日だが、最近は日本も便乗して「お世話になっている上司に感謝の気持ちをこめてプレンゼントを贈ろう」みたいなキャンペーンもチラホラ。「そんなもん、誕生日でいいじゃないですか……」とボヤいている社畜なアナタ。ほんと、そのとおりだと思います。
この記念日、もともとはパトリシアさんというひとりの一般市民が提唱したもの。
「雇用者と被雇用者の関係を改善させたい」という信念があった彼女は、「そもそも若手社員が上司たちの任務や責任をしっかりと理解し、感謝していないのではないか?」と考えたそうだ。
そこで従業員が上司にカード、花、お菓子などを贈る機会として上司の日を制定したという。ちなみに10月16日には彼女の尊敬する上司の誕生日。さらにちなむと、その上司は彼女の父親……。
超個人的な記念日じゃん!
いやはや、こんなプライベートな記念日が世界中に広まって、毎年10月16日が来るたびに上司がそわそわし始めたら世のヤンサラ諸君もウンザリだろう。
それでもまぁ“尊敬する”上司に感謝の意を表すのは悪いことではないし、お菓子をプレゼントする程度で関係が円滑になるなら、いいかもしれませんね。
てなわけで本日紹介するのは「Cocohana」にて連載中の『わたしの上司』だ。
ヒロインは念願叶って玩具メーカーに就職した新入社員の恵。希望どおりガールズトイ事業部に配属されたのだが、待ち受けていたのは鬼上司の中島だった……。
ここで表紙をご覧いただきたい。黒髪のイケメンが鬼上司の中島青年だ。
当然のごとく、この中島、怖いだけではなく、やさしい一面もあり、失敗時のフォロー、セクハラの撃退、満員電車でのガードなど、随所で恵のハートをキュンキュンに刺激。
いつの間にか中島のことばかり考えている恵なのである。
もちろん、すんなりと2人がつきあってしまったら連載は短期で終了だ。
ここで再度表紙をご覧いただきたい。ロングヘアを耳にかけた、ゆるふわ美女が恵である。こんな新入社員が配属されたら、男性陣が放っておくわけがなく、さっそく同僚のイケメン#2=三浦が何かと2人きりになるよう追いこんでくる。
しばらくはこの三角関係を軸にストーリーが動いていきそうな気配。「入社直後くらい仕事に集中せいや!」とツッコミたくもなるが、「働く女子に不足しがちなキュンドキッ成分120%含有」というコンセプトなので、ドリーム感満載なのは至極当然である。
中島は恵が大好きなキャラクター「のんきねこ」の作者でもある。そんな尊敬する上司が残業中にウトウトするのを見て、恵は社内の自販機で栄養ドリンクを購入し、「お疲れ様です」とメッセージを添えて起こさぬよう去っていく。
うん、ボスの日も、この程度のささいなプレゼントでOKという風潮が定着するなら悪くないかもね。
ただし誕生日でもないのに女性から差し入れをされると、勘違いをする男性上司がいないともかぎらない。
くれぐれも無差別ではなく、人間的にも“尊敬できる”上司にお贈りくださいね。
<文・奈良崎コロスケ>
中野ブロードウェイの真横に在住し「まんだらけ」と「明屋書店」と「タコシェ」を書庫がわりにしているライター。「ルパン三世ぴあ」に参加。10月にスタートするルパン新シリーズの友永秀和総監督にインタビューしました。