日々発売される膨大なマンガのなかから、 「このマンガがすごい！WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー！

今回紹介するのは、『僕たちがやりました』

『僕たちがやりました』第9巻
金城宗幸（作） 荒木光（画） 講談社 ￥580+税
（2017年4月6日発売）

「そこそこ」な青春を送りたい男子高校生・トビオは、いつもつるんでいる友だち・マルが隣りの不良高校・矢波（やば）校の生徒にボコられた仕返しに、金持ちのセンパイ・小坂秀郎らとともに計画を練り、爆破事件を起こし、死傷者まで出してしまう。
出来心で行ったイタズラで死傷者を出す大事件を起こしてしまったトビオたちは、それぞれ罪悪感に苛まされながら暮らすが……。

クズな高校生たちのクライムサスペンスも、ついに完結。時は流れ、彼らは社会人になる。
犯罪者である彼らは、「そこそこ」な生活を手に入れた。ふとした瞬間に押しよせてくる罪悪感や恐怖をのぞけば……。

赤の他人にナイフを向けられた時、トビオは「死ぬべき人間なんだよ俺は!!」と殺されたがった。
「とんでもない底辺（バカ）」たちの狂気は、一周回ってギャグだ。一見重そうなテーマをギャグに見せるのは、やはり荒木光の高い画力によるところが大きいだろう。

クズでバカな高校生たちの底抜けに明るい青春と過ち。
最後まで、スピーディかつ行き当たりばったりな展開が心地よかった。
Fuck you クズども！　達者でな！

＜文・黒谷貴清＞
エンタメ系フリー編集者。「このマンガがすごい！WEB」のアンケートに参加中。