365日、毎日が何かの「記念日」。そんな「きょう」に関係するマンガを紹介するのが「きょうのマンガ」です。
5月9日はメイクの日。本日読むべきマンガは……。
『メイキャッパー』 第1巻
板垣恵介 秋田書店 ¥390円+税
本日5月9日は、JMAN(Japan Make-up ArtistNetwork)がMayと9の語呂合わせから、身近な人へのメイクアップや、化粧品をプレゼントする日として「メイクの日」と定めている。毎年この日は、JMANによるメイクの日の認知度をあげるためのキャンペーンが、各地で展開されるようだ。
今回は、そんなメイクの日にふさわしいマンガ、板垣恵介の『メイキャッパー』を紹介する。
同著者のメイクマンガといえば、『グラップラー刃牙』第13巻に収録されている読み切り「化粧師―メイカー―」のほうが一般的にはなじみがあるかもしれない。
この『メイキャッパー』は、そんな「化粧師―メイカー―」以前に執筆された、著者のデビュー作なのだ。
主人公・美朱咬生(みあけ・こうせい)は、「悪魔の手(デビル・ハンド)」「美神(ビーナス)の息子」と呼ばれる天才メイクアーティスト。彼が毎回巧みなテクニックを用いて、様々な人物の美の悩みを解決していくのが主な流れなのだが……そこは板垣マンガ、ただメイクをして終わるはずがない。
現代のスタンダードなメイクから、ワニの糞を使った古代ローマのメイクまで、古今東西のメイクテクニックが紹介されるのはもちろんのこと、瞼(まぶた)の裏側にあるツボを刺激することで脳内物質を分泌させ、対象から美を引き出す「エンドルフィン・エフェクト」などなど、のちの作品を彷彿とさせるケレン味あふれる描写が続出するのだ。
メイクの源流と、板垣マンガの源流の両方を味わえる本作は、まさにメイクの日に読むのにうってつけのマンガといえるだろう(実践できるかはともかく)。
<文・山田幸彦>
91年生、富野由悠季と映画と暴力的な洋ゲーをこよなく愛するライター。怪獣からガンダムまで、節操なく書かせていただいております。Twitter:@gakuton