365日、毎日が何かの「記念日」。そんな「きょう」に関係するマンガを紹介するのが「きょうのマンガ」です。
6月3日は雲仙普賢岳祈りの日。本日読むべきマンガは……。
『ドラゴンヘッド』 第1巻
望月峯太郎 講談社 ¥515+税
1991年6月3日、雲仙・普賢岳で大火砕流が発生した。消防団員や警察官、報道関係者など、大勢の人間が犠牲となった痛ましい災害だ。
以来、同日は「雲仙普賢岳祈りの日(いのりの日)」に制定され、長崎県の人々は今も犠牲者への祈りを捧げている。
日本は火山大国だ。しかし、日頃それを意識している人は少ないだろう。
噴火による大災害に巻きこまれるなんて天文学的な確率だ、なんて思っている人もいるかもしれない。けれど、いつそれに巻きこまれてもおかしくないのだ。
その時、生き残ることができるだろうか……?
『ドラゴンヘッド』は、そんな未曾有の大災害に巻きこまれてしまった人々の姿を描いた名作だ。
主人公の中学生・テルやアコ、そして大人たちが懸命に生き抜くさまには、フィクションだからといってバカにできないリアルさがにじむ。
物語は突然の落盤でトンネル内に閉じこめられてしまった新幹線のなかから始まる。真っ暗闇のなか、まわりに転がるのは同級生たちの死体。
そんな絶望的な状況下で、必死に生きようとするテルとアコ。彼らを中心に物語は進むが、印象的なのはやはりラストだろう。
なんとか東京へ向かうテルとアコを待ち受けていたのは、超巨大な活火山だったのだ。
火を噴く様子は、まさに龍の頭。人類を滅亡へと追いこむドラゴンがそこにはいたのである。
火山を始めとする災害の恐怖を描いた本作。
天災の前に、人類はあまりに無力だ。火山大国に住んでいる以上、この物語は決して他人事ではないだろう。
<文・五十嵐 大>
83年生まれの、引きこもり系フリーライター。デスゲーム系やバトルもの、胸キュン必至の恋愛マンガやBLまで嗜む、マンガ好きです。マイブームは、マンガ飯の再現。