「このマンガがすごい!」ランキング選者のみなさんが関心を寄せた、マンガに関わる重大ニュースを一挙に大公開!
なんといっても、「性」に関する表現上の問題から、「マンガボックス」で連載打ち切りとなっていた『境界のないセカイ』の発売決定に至るまでの動向に、みなさん注目していたようです。本作の単行本が発売する4月25日には、「このマンガがすごい!WEB」にて「マンガとジェンダー」についての特集記事も公開されました。こちらも要チェックですよ!
それではさっそく、『境界のないセカイ』を含め、現在話題を呼んでいる様々なニュースを振り返ってみましょう。
『境界のないセカイ』の発売決定に思うことは……?
やはり、『境界のないセカイ』の連載及び単行本発売中止事件でしょうか。「表現の自由」は社会の許容度の裏返しですが、個々人が傷つきやすくなり、外界に自分を傷つけないよう求め、批判することが多くなると、その反射的効果として「表現の自由」は狭まります。批判そのものを避けるために過剰な配慮をすることで、「表現の自由」はさらに狭まります。まさに『境界のないセカイ』事件はこれにあたると思います。幸い、あるLBGT関係団体からこの自粛に対する反対意見が出たり、あとを引き受けるとKADOKAWAが表明したことで、今回の事案は治癒したように思います。しかしながら、これはいつでも再び起きうることだと思うのです(境真良/国際大学LOCOM客員研究員)
講談社での単行本化中止&「マンガボックス」での連載打ち切り。そして、KADOKAWAからの単行本刊行&「少年エース」への移籍決定。トラブルの原因、移籍までの速度感、どちらも興味深い出来事だった(後川永/オタク系よろずライター)
本作に関するゴタゴタは、ネット配信の難しさ、特に編集者の持つ権限の限界を露わにした(soorce/オヤジ漫画系ブロガー)
『境界のない世界』の連載は「少年エース」に移るとのことですが、かなり心配していたので今はホッとしています(いけさん/ブログ「いけさんフロムエル」管理人)
ファン待望のビッグニュース
「チャンピオンRED」に山口貴由の『魔剣豪画劇』が付録として冊子化されたこと。極彩色のモツあふれる、短いながら鮮烈な印象を残す作品群であった。分量的にも単行本化は厳しそうであったので、こういうかたちでまとまって読めたのは素直にうれしい(raven /ディレッタント)
「ヤングマガジンサード」連載のコミック創刊!(福丸泰幸/喜久屋書店漫画館京都店店長)
渋谷にマンガサロンを建てるプロジェクトが開始(ふな/ブログ「はてなで語る」管理人)
今月ひょんなことから、「ヤングチャンピオン」で好評連載中の麻雀マンガ『凍牌』の作者・志名坂先生と、あろうことことにも卓を囲んでしまうという事件が発生! 普段エロマンガ畑にいる身としては、急な任侠世界に飛び込んでしまった雰囲気を味わい、人柱になることなく無事ゲームを終えることができました。あれだけ緊張した麻雀マンガを描く先生ですが、本人はいたって温厚な先生でマンガと現実のギャップというものをこんなところで感じるとは(笑)(稀見理都/漫画家インタビュアー)
出版業界に押し寄せた悲しみ……
漫画家の辰巳ヨシヒロさん死去(すけきょう/ブログ「ポトチャリコミック」管理人)
辰巳ヨシヒロ先生が亡くなられたこと。衝撃でした。劇画の提唱者ということで有名ですが、なにより今読んでも抜群におもしろい。マンガ界の巨人がまたひとりいなくなってしまったことは、残念でなりません(竹下典宏/まんだらけコンプレックス店長)
「井上書店 コミックスペース店」の閉店、「まんが王 八王子店」の閉店決定。マンガ雑誌の衰退とオンライン連載の普及は書店を閉店に追いやってしまうのか?(早川博志/恭文堂コミッククラフト店)
大好評を博した「岡崎京子展 戦場のガールズ・ライフ」
岡崎京子展に行ってきました。まにあってよかった。岡崎さんは「(書くべき)物語」が自分のなかからあふれ出ている天才が、たまたまマンガって表現を使っていたんだろうな、と思っています(小山まゆ子/フリーランスの編集・ライター)
3月29日土曜日、滑り込みで見にいった世田谷文学館の「岡崎京子展 戦場のガールズ・ライフ」にて、偶然にも小沢健二のシークレットアコースティックライブに遭遇。つかの間90年代の甘美な思い出に浸りました(小田真琴/女子マンガ研究家)
展覧会の様子はコチラで特集しています!