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【番外編】岡崎京子 初の大規模展覧会「岡崎京子展 戦場のガールズ・ライフ」 世田谷文学館で絶賛開催中!!

2015/02/11


1983年のデビュー以降、マンガ界に新しい風を吹き込み続けた女性漫画家・岡崎京子。当時の宝島社刊行物をはじめ、多数のマンガ雑誌やファッション誌に作品を掲載し、80~90年代カルチャーの成立、そして後に続くたくさんのクリエイターたちに、大きな影響を与えた存在です。
1996年に起こった不慮の事故以降、執筆活動は休止していますが、彼女の筆による『ROCK』『リバーズ・エッジ』『チワワちゃん』『東京ガールズブラボー』『pink』『ヘルタースケルター』といった、女性のセンシティブな心模様と時代の空気を描いた数々の名作は、今も読者を魅了し続けています。

そんな岡崎京子の、初の本格的な展覧会「岡崎京子展 戦場のガールズ・ライフ」が、現在、東京都世田谷区南烏山にある世田谷文学館にて、絶賛開催中です。
本展覧会では、300点以上もの岡崎作品の原画をはじめ、学生時代に描かれたスケッチ、インタビューやイラストコラムなどが収録された実際の掲載誌、映画版『へルタースケルター』(監督:蜷川実花)で使用した衣装など、貴重な資料が展示されています。

以前からの岡崎作品のファンはもちろん、今まで岡崎京子という存在を知らなかった人たちにも、「絶対に足を運ぶべき!」と断言できる、すばらしい密度の展覧会の様子を紹介します。

「岡崎京子のすべて」がつまった空間

本展覧会の目玉は、やはり岡崎京子自身がペンを入れた貴重な原画の数々。約300点を超える原画のなかには、単行本のカバーや雑誌グラビアのために描かれたカラーイラストも多く、岡崎京子ならではの色彩センスが堪能できます。

今では入手困難な当時の雑誌にのみ掲載されているカラー原画も豊富に展示!

今では入手困難な当時の雑誌にのみ掲載されているカラー原画も豊富に展示!



通常の印刷物では確認することのできない、描線の軽やかな動き、塗り重ねたベタのグラデーション、ホワイトや切り貼りによる修正の跡、計算されたトーンの使用法など、原画を通して感じとってみましょう!

公式カタログのデザインも担当したコズフィッシュの祖父江慎氏が、展覧会のアートディレクションを務めている。

公式カタログのデザインも担当したコズフィッシュの祖父江慎氏が、展覧会のアートディレクションを務めている。



会場の世田谷文学館2階は、「東京ガールズ、ブラボー!!」「女のケモノ道」「平坦な戦場」など、ファンがニヤリとする名称がつけられた、いくつかのセクションに分けられ、貴重資料が展示されています。

原画だけでなく、会場に集められた学生時代のスケッチや貴重な雑誌類は、この展覧会を逃せば目にするチャンスはないだろう。

原画だけでなく、会場に集められた学生時代のスケッチや貴重な雑誌類は、この展覧会を逃せば目にするチャンスはないだろう。

『岡崎京子展 戦場のガールズ・ライフ』公式カタログは約400ページの大ボリューム!


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『岡崎京子 戦場のガールズ・ライフ』
岡崎京子 平凡社 \2300+税
(2015年2月3日発売)

展覧会に合わせて刊行された、公式カタログ『岡崎京子 戦場のガールズ・ライフ』。その総ページ数は、なんと394ページ!!
展覧会を彩った約150点の原画に加え、単行本未収録の短編8作品が掲載されています。なかでも幻の短編「平成枯れすすき」は、岡崎ファン必読といえるでしょう。

岡崎自身の作品以外で特筆すべきは、ミュージシャンの小沢健二[注2]や、タレント・作家のいとうせいこう[注3]、小説家・エッセイストのよしもとばなな、マンガコラムニストの夏目房之介といった、岡崎京子と親交の深い名だたる著名人たちの寄稿文。このカタログに寄せられた皆さんの岡崎京子への熱い想いを読んだあと、もう一度作品を読み返してみれば、また違った感想が得られるのでは?
さらに、漫画家の桜沢エリカ×安野モヨコ×しまおまほによるトークイベント採録に加え、TOKYO No.1 SOUL SET[注4]のヴォーカル・BIKKEや、漫画家の今日マチ子といった各界のクリエイターたちが手がけたトリビュート作品も! 大塚英志[注5]らによる評論、岡崎の誕生から現在までの活動を入念に記録した年譜と作品目録など、資料性も充実。
このプレミアムな1冊を何度も何度も読み返し、岡崎京子の世界観にずっと浸ってはいかがでしょうか? 展覧会のミュージアムショップだけでなく、全国書店やAmazonなどのネットショップでも販売中です!


また、本カタログと同時に発売された、『レアリティーズ』『オカザキ・ジャーナル』もおすすめの単行本。
『レアリティーズ』は、同人誌などの知られざる初期秘蔵作品など、単行本未収録作品を網羅した1冊。
『オカザキ・ジャーナル』は、ファンの間で「伝説」と呼ばれる、「朝日ジャーナル」に連載されていたエッセイを完全収録! それに加えて、「広告批評」で連載された宗教人類学者・植島啓司との往復書簡もまとめた1冊だ。
この2冊も、ぜひ展覧会の公式カタログと一緒に読んでみてほしい。

宝島社からも岡崎京子作品発売中!!


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『RUDE BOY 岡崎京子未収録長編』
岡崎京子 宝島社 \2300+税
(2012年7月4日発売)

幻の長編を初単行本化!
表題作「RUDE BOY」は、1989年から1990年にかけて刊行されていた、宝島社の「Rockin'Comic」で連載された未完の長編。そして、「漫画ブリッコ」での記念すべき初連載作品「爆烈女学校」と、電気グルーヴのファンブックに掲載されたショートコミックや、1989年に収録されたインタビューも収録!
「岡崎京子展 戦場のガールズ・ライフ」に足を運んだあと、ぜひ手に取ってみてください!!


「岡崎京子展 戦場のガールズ・ライフ」

開催期間:2015年1月24日(土)~3月31日(火)
会場:世田谷文学館 2階展示室
最寄り駅: 京王線「芦花公園(ろかこうえん)」駅
電話:03-5374-9111
営業時間:10:00~18:00 (展覧会入場、ミュージアムショップは17:30まで)
定休日:月曜日
URL:http://www.setabun.or.jp/exhibition/exhibition.html

  • [注1] 小沢健二:シンガーソングライター。ソロ活動のほか、小山田圭吾とのフリッパーズ・ギターとしての活動や、スチャダラパーとの共作「今夜はブギー・バック」なども有名。岡崎京子との親交でも知られる。
  • [注2] いとうせいこう:小説家、タレント、俳優、ミュージシャン、エッセイストとして、マルチに活躍。1992年に発売された単行本『ハプニングみたい』は、岡崎京子のイラストといとうの文章が組み合わさった意欲作。
  • [注3] TOKYO No.1 SOUL SET:ヒップホップバンド。一般的なラップ・ミュージックのイメージとは異なる、ヴォーカルのBIKKEによるポエトリーリーディング的な歌唱法が特徴。1994年のデビュー当初から、岡崎京子も注目していたという。
  • [注4] 大塚英志:批評家、漫画原作者、小説家、民俗学者。編集者として、伝説の成人向けマンガ雑誌「漫画ブリッコ」に関わり、藤原カムイやかがみあきら、そして岡崎京子らの才能を見出した。

単行本情報

  • 『岡崎京子 戦場のガールズ・… Amazonで購入
  • 『RUDE BOY 岡崎京子未収録長… Amazonで購入
  • 『レアリティーズ』 Amazonで購入
  • 『オカザキ・ジャーナル』 Amazonで購入

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