365日、毎日が何かの「記念日」。そんな「きょう」に関係するマンガを紹介するのが「きょうのマンガ」です。
6月10日は時の記念日。本日読むべきマンガは……。
『アカギ ~闇に降り立った天才~』 第7巻
福本伸行 竹書房 ¥650+税
6月10日は「時の記念日」だ。
この記念日は「時間を尊重し、生活の改善化・合理化を図ろう」という主張のもと、1920年に財団法人・生活改善同盟会によって設立されたもの。
分刻みのダイヤを守る鉄道会社や、「5分前行動」などといったマナーが存在し、ことさら時間に厳しい印象がある現在の日本からは考えられないようなスローガンだが、この記念日をきっかけに時間意識を少しずつ改善していった結果が今だということなのだろう。
「時」の表現が特殊なマンガ作品といえば、福本伸行の代表作である麻雀マンガ『アカギ』もそのひとつといえる。
『天 天和通りの快男児』のスピンオフである本作は、原典に登場する不世出の天才雀士・赤木しげるの若き日の活躍を描く作品。
なかでも注目したいのはコミックス第7巻からの「鷲巣麻雀編」だ。
最大のライバル・鷲巣巌(わしず・いわお)との血液を賭けた特殊麻雀を描いた本シリーズは、1997年に開始されると、その特殊なルールが話題を呼び、大勢の読者の興味をひいた。
序盤こそ、それまでのエピソードと大きく変わりはなかったものの、シナリオが進むにつれて、作品の見どころであった心理戦描写が徐々に深化していくと、一瞬一瞬の描写が極限まで濃密化。
最終局面になると配牌を配り終えるのに数話かけ、牌を引くのに1話をかけ……といった様子で話が引き伸ばされていったのだ。
そんな鷲巣麻雀編も、今年2017年にはついに勝負が決着。
結局、「一夜の戦い」を終えるのに、現実ではなんと20年もの歳月が流れていたのだから驚きというほかないが、その長さゆえに、受ける感動もひとしおだ。
激闘を終え、ついに最終話に向けてラストスパートを迎えた『アカギ』。
鷲巣麻雀が決着したら読みなおそうとしていた人は、今こそ追いつくチャンスだろう。
<文・一ノ瀬謹和>
涼しい部屋での読書を何よりも好む、もやし系ライター。マンガ以外では特撮ヒーロー関連の書籍で執筆することも。好きな怪獣戦艦はキングジョーグ。