『アカギ ―闇に降り立った天才』第8巻
福本伸行 竹書房 \552+税
6月14日はABO式血液型を発見し、それによってノーベル生理学・医学賞も受賞したカール・ラントシュタイナーの誕生日。そして、それにちなんで国際赤十字・赤新月社連盟、世界献血団体連盟、国際輸血学会が2004年に制定した記念日が「世界献血者デー」である。
そして近年は、マンガと献血はけっこう縁が深い。というのも、コミケで献血応援イベントの実施が恒例となっており、そのイベント期間に献血を行うと、スペシャルコラボポスターがもらえたりするからなのだ。
そのコラボポスター、多くはごく平和にその当時の人気作品がピックアップされているのだが、2012年にひとつ異彩を放ちまくっている献血ポスターが存在した。
それが・・・・・・『アカギ』っ・・・!
いうまでもなく『アカギ』が献血ポスターに採用されたのは、作中で鷲巣巌と金銭のかわりに血液を賭ける、まさに命がけの麻雀勝負が行われていることにちなんだもの。
いや、だからって献血のポスターにするか?という常識的モラルの一線を超えたかのようなセンスが最高すぎでしょう。まぁ、話のなかでも赤木しげるがあらかじめ勝負内容を予想して自分に輸血しておくことで死線を超えてるし、やっぱりこれ以上献血の啓蒙にふさわしいキャラクターはいません。たぶん。
ちなみに『アカギ』で血液を賭けた「鷲巣麻雀」が始まるのは単行本では第8巻から。
それ以降、半荘6回勝負がリアルタイムでは17年ばかし続いている間に、昭和30年代の話でありながら鷲巣様の口からツイッターやルンバという単語が飛び出したり、はたまた鷲巣様が一度死んで地獄で閻魔大王と戦った末に富士山を破壊して現世に戻られたりと、いつの間にやら鷲巣様を楽しむマンガにシフトチェンジしているような気もするのですが、今こそあらためて、ひりつくような勝負が行われていたころの『アカギ』を読み返していただきたいものだ。来月からはBSスカパーで実写ドラマも始まることだし。
そして、いよいよ終わりが見えてきた(のか?)鷲巣麻雀の決着する歴史的な瞬間に、今からそなえておきましょう!
<文・大黒秀一>
主に「東映ヒーローMAX」などで特撮・エンタメ周辺記事を執筆中。過剰で過激な作風を好み、「大人の鑑賞に耐えうる」という言葉と観点を何よりも憎む。