『賭博堕天録カイジ ワン・ポーカー編』第5巻
福本伸行 講談社 \571+税
(2014年12月5日発売)
「愛よりも剣」から「救出」を経てたどり着いた、兵藤和也vsカイジの決戦種目は「ワン・ポーカー」。
1枚のカードのみで勝負するシンプルなルールだが、なかなかに奥が深い。
序盤こそカイジの優勢に進んだものの、結局は「ライフ」を使いはたして破産してしまう。
万事休すかと思いきや、和也がまさかの延長戦を提案。
賭けるものは通常のライフ(2億円相当)とは違う「赤ライフ」。文字どおり自分のライフ=命をベットするのだ。
このワン・ポーカー、相手の手の内がほとんど透けて見えている点がポイント。手元のランプで相手のカード内容がどのような構成なのかが丸わかりなのである。
たとえばUP+UPならA~8を2枚所有、UP+DOWNならA~8を1枚と7~2が1枚、DOWN+DOWNなら7~2が2枚といった具合だ。
手作りの必要がないぶん心理戦が中心となり、福本節フルスロットルの展開となっている。
赤ライフを失えば後方の穴から垂直落下決定! 高確率で死に至るため、カイジにとっては文字どおり絶体絶命の負けられない一戦だ。
はたして徳俵に足がかかった状態から形勢を逆転することはできるのか?
まだまだ手の内をさらしていない和也が、今後どんな手を仕掛けてくるのかも気になるところ。
まさしく生きるか死ぬかの大勝負が幕を開ける!
<文・奈良崎コロスケ>
68年生まれ。東京都立川市出身。マンガ、映画、バクチの3本立てで糊口をしのぐライター。中野ブロードウェイの真横に在住する中央線サブカル糞中年。
「ドキュメント毎日くん」