日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!
今回紹介するのは、『空挺ドラゴンズ』
『空挺ドラゴンズ』 第2巻
桑原太矩 講談社 ¥600+税
(2017年5月1日発売)
『空挺ドラゴンズ』は、特殊部活系マンガ『とっかぶ』で連載デビューした桑原太矩の連載第2作目。
龍を狩るため空を飛ぶ捕龍船「クィン・ザザ号」の旅を追うグルメ系ファンタジーマンガだ。
「マンガ大賞2017」にノミネートされるなど、連載当初から注目を集めている。
クィン・ザザ号は個性的な乗組員ばかりだが、物語を引っ張るのは、龍を調理して喰うことにやたらと執着する男・ミカ。
第2巻では有数の捕龍基地として栄えた港市・クオーン市でのしばしの休息を描く。
だが、豪放磊落な“龍捕り(おろちとり)”に平穏など訪れる訳もなく、ここでも龍との戦いが……!?
ファンタジーのドラゴンとも現実世界のクジラとも異なる、生物感のある龍が躍動する様子は美しくも迫力満点。
そんな神々しい龍を「龍の尾身ステーキサンド」「龍の塩漬脂身の燻製」「龍肉の手延べ汁麺(ラグマン)」(すべてレシピつき!)と、おいしく食べてしまうのだから、人間はたくましいというか、恐ろしいというか(笑)。
今巻は龍グルメだけでなく、龍の革の壁掛け(タペストリー)に大型龍の解体と龍とともに歩んできた人々の生活も描き出され、世界もより深まっている。
次はどんな風景を見せてくれるのか。
龍グルメ、一度は食べてみたいもんだ。
<文・卯月鮎>
書評家・ゲームコラムニスト。週刊誌や専門誌で書評、ゲーム紹介記事を手掛ける。現在は「S-Fマガジン」(早川書房)でファンタジー時評、「かつくら」でライトノベル時評を連載中。
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