日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!
今回紹介するのは、『ACCA13区監察課 P.S.』
『ACCA13区監察課 P.S.』 第1巻
オノ・ナツメ スクウェア・エニックス ¥571+税
(2017年5月25日発売)
今年1月期にアニメ放映され人気を博した『ACCA13区監察課』の番外編の単行本第1巻がついに発売だ。
2013年6月〜2016年10月、月刊「ビッグガンガン」にて連載された本編は、群像劇を得意とするオノ・ナツメの新境地的作品であった。
スタイリッシュかつ独特な世界観と、どこかミステリアスなストーリー運びは、マンガ、アニメ、どちらから入ったファンをもすっかり虜にし、番外編の連載開始には多くの人が沸きかえった。
さて、この番外編は、本編に数多く登場した各キャラクターにスポットを当て、おのおのの視点で描かれており、第1巻となる今巻は、本編の物語の核となった“最後の5長官”の4人を扱っている。
いうなれば、13の自治区から成る“ドーワー王国”の平和と秩序を守る組織“ACCA”を司り、5長官制度を廃止させた彼らの前日譚である。
ヤッカラ区出身でギャンブル好きないぶし銀のスペード、スイツ区出身で金髪・ロン毛・口ひげのパスティス、すべてがデカいジュモーク区出身でバランサーのパイン、ロックス区出身で銀髪・ロン毛、寡黙なグロッシュラー。
いずれもオジサマキャラにもかかわらず、オノ・ナツメの十八番ともいうべきロマンスグレー感が素敵すぎて女子騒然は必至。
ついでになんともいえない色気も漂い、腐女子のBL魂にも、本編以上に火をつけてくれる。
1話完結のスタイルながら、各人の思惑が絡み合って連続していく物語は、通読しても読みごたえあり。
今巻最終話で、セクシーオジサマの本命・フラワウ区出身のリーリウムも姿を見せてくれ、次巻以降への期待もますます高まるばかり……♡
いくつもの伏線を集約して見事な完結を見せた『ACCA13区監察課』の世界を、もう一度、別の角度から、余すところなく堪能できる秀作ゆえ、ファンはもちろん、まだ本編を知らないアナタにも、一刻も早く読んでほしい1冊だ。
<文・藤咲茂(東京03製作)>
美酒佳肴、マンガ、ガンダム、日本国と陸海空自衛隊をこよなく愛し、なんとなくそれらをメシのタネにふらふらと生きる編集ライター。