このマンガがすごい!WEB

一覧へ戻る

7月22日は「日本にキリスト教が伝来した日」 『現約聖書』を読もう!【きょうのマンガ】

2017/07/22


365日、毎日が何かの「記念日」。そんな「きょう」に関係するマンガを紹介するのが「きょうのマンガ」です。

7月22日は日本にキリスト教が伝来した日。本日読むべきマンガは……。


genyakuseisyo_s

『傑作未刊行作品集NO.3 現約聖書』
ジョージ秋山 メディコム・トイ ¥2,400+税


1549(天文18)年7月22日、ある人物が鹿児島に上陸して、ある宗教が日本にもたらされることになった。
その人物とはカトリック教会・イエズス会の宣教師フランシスコ・ザビエルで、もたらされた宗教とはキリスト教。

キリスト教を題材にしたマンガは数々あるが、その教えの書である聖書そのものを『聖書 旧約篇新約篇』としてコミカライズしているのが、鬼才・ジョージ秋山だ。
善・悪とは何か、神・宗教とは何かを描き続けてきた著者にとっては、これ以上ない題材。
しかしジョージ秋山には、新旧の『聖書』以前に『現約聖書』と銘打たれた名作もある。

同作は、「週刊少年ジャンプ」誌上で1970年から1971年まで連載されたオムニバス作品で、第1話には前連載作の『デロリンマン』も登場する。
『現約聖書』の中身をひと言で語るなら、まさに現代の聖書。当時の現代社会を背景に、人間の業、哀しみ、優しさを聖書的なモチーフ、宗教的なタッチで描き出した作品だ。

母と子の愛憎、兄と妹の悲哀、老人と少年の交流。
市井の人々を温かくも厳しく見つめる視点は、著者の代表作『浮浪雲』に相通じるものだ。
現代において、神とは、救いとは、いやしとは何なのか。
聖書の名のとおり、まさにそんなことも考えさせられる一作。

人種差別の問題もあって単行本には収録されなかったエピソードもあるうえ、現在では復刻版も入手困難になっている。
それでもこの現代の聖書は、探し求めて読む価値あり。
宗教とはかくて困難なもので、それでも広まるものなのだ。



<文・渡辺水央>
マンガ・映画・アニメライター。

単行本情報

  • 『傑作未刊行作品集 現約聖書』 Amazonで購入
  • 『聖書 旧約篇』 第1巻 Amazonで購入
  • 『聖書 新約篇』 第1巻 Amazonで購入
  • 『浮浪雲』 第1巻 Amazonで購入
  • 『銭ゲバ』 上巻 Amazonで購入
  • 『アシュラ』 上巻 Amazonで購入
  • 『デロリンマン』 上巻 Amazonで購入

関連するオススメ記事!

アクセスランキング

3月の「このマンガがすごい!」WEBランキング