日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!
今回紹介するのは、『憂国のモリアーティ』
『憂国のモリアーティ』 第3巻
コナン・ドイル(案) 竹内良輔(構成) 三好輝(画) 集英社 ¥438+税
(2017年7月4日発売)
シャーロック・ホームズのライバルとして有名なジェームズ・モリアーティ教授。
『憂国のモリアーティ』はそんなモリアーティを主人公にしたピカレスクだ。
大英帝国の厳しい階級社会こそが諸悪の根源と定めたひとりのイケメン天才児が、名門貴族の子息に成りかわり、貴族社会に戦いを挑む。
法で裁けぬ悪の貴族たちに対し自らの手で裁きを下す、いわばイギリス版『必殺仕事人』といった趣向の作品だが、もちろんモリアーティがいるからには、その宿敵であるホームズもいるのである。しかし本作のモリアーティはそんなホームズをもコマとして利用する。貴族制度が生みだす犯罪をあえてホームズに解決させることで、英国の歪みを周知せしめようとする。
無論、ホームズとて、おとなしくモリアーティのコマに収まるようなタマではないはずだが、はたしてこの企てにどう立ち向かうのか。知的な頭脳戦を期待したいところである。
<文・前島賢>
82年生、SF、ライトノベルを中心に活動するライター。朝日新聞にて書評欄「エンタメ for around 20」を担当中。
Twitter:@maezimas