日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!
今回紹介するのは、『バイオレンスアクション』
『バイオレンスアクション』 第2巻
浅井蓮次(画) 沢田新(作) 小学館 ¥630+税
(2017年7月12日発売)
デリヘルのゆるふわ女子大生かと思いきや、殺しの技術は『デストロ246』や『ヒットガール』、『GUNSLINGER GIRL』もかくやというスゴ腕という二面性を、謎の天然キャラで調和させている主人公ケイ。
そんな彼女が、ノワール映画やハードボイルド小説のようなシリアスかつドライな世界で殺しまくるのが本作。
第2巻には、ケイとタッグを組むスナイパー・だりあが登場、第1巻で激戦を繰り広げたもうひとりのスゴ腕「みちたかくん」も再登場する。
彼らとケイは、ヤクザが経営する私設の非合法刑務所「囚人倉庫」で待ち伏せて、そこに現れるはずの「塾長」たち殺人者集団を迎え撃つ。
ゆるふわ女子の外見で、堅実な将来設計と意識高い系みたいな言動にもかかわらずめっちゃ人を殺すケイと、「TIM!TIM!TIM!(TIMはタイムイズマネーの略)」を暴力団を襲撃して壊滅させた際に連呼するメガネスーツの「塾長」とは、暴力に対する恐怖や躊躇が麻痺しているところが似ている、といえるだろう。
一般人のようなソトヅラで、罪悪感や恐怖を覚えない殺人者、というのは強そうなキャラクターにはときどき見かける造形ではあるのだけれど、作品全体を貫く得体の知れない平常心的な雰囲気が彼らを世界に自然になじませていて、そこが怖くておもしろい。
ケイの真逆、暑苦しくて見るからに強そう、なのにどこか笑える「みちたかくん」の活躍はこれからだと思うので、次巻がまた待ち遠しい!
<文・永田希>
書評家。サイト「Book News」運営。サイト「マンガHONZ」メンバー。書籍『はじめての人のためのバンド・デシネ徹底ガイド』『このマンガがすごい!』のアンケートにも回答しています。
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