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『バイオレンスアクション』(浅井蓮次・画 沢田新・作)ロングレビュー! ゆるふわ美少女×スピーディーアクション=……!? 私が天国(あの世)にイかせてあ・げ・る♡

2017/05/17


話題の“あの”マンガの魅力を、作中カットとともにたっぷり紹介するロングレビュー。ときには漫画家ご本人からのコメントも!

今回紹介するのは『バイオレンスアクション』

『バイオレンスアクション』著者の浅井蓮次先生・沢田新先生から、コメントをいただきました!


作画:浅井蓮次

「このマンガがすごい!」で取りあげていただいてありがとうございます!

原作沢田先生の描かれる『VA』の世界観は本当に緊張感があって人間臭くて危なくて、私自身も「はやく、ケイちゃんなんとかして!」と一読者として楽しみながら描いています。

つらくて苦しい時にもケイちゃんのゆるっとした笑顔をふと思い出してしまうような、クセになるマンガになってくれたらなと思います。

原作:沢田新

「型」のできているジャンル漫画的な枠組みのなかにアソビを交えつつ、ジャンルの芯を食うものを描きたいという気持ちをこめて、タイトルを「バイオレンスアクション」にしました。

作画の浅井先生は、微細な表情、演出の機微をしっかりくみ取ってくださり、誠実に線を引かれる力量ある方ですので、頼もしくありがたく思っています。

作品のテーマは「希望」です。バカかと思われるかもしれませんが本気です。皮肉やてらいなく、希望について描いていきたいと考えています。
よければ買ってください。お金がほしいんです。お金が大好きなんです。

ViolenceAction_s01

『バイオレンスアクション』 第1巻
浅井蓮次(画) 沢田新(作) 小学館 ¥630+税
(2017年3月10日発売)


『バイオレンスアクション』というド直球のタイトルと、それにまったく似つかわしくないふんわりタッチの少女。

そのギャップに満ちた表紙だけで「なんだこれ?」と思わせるに十分なパンチがあるが、ひとたび読み始めると彼女の魅力に即ノックアウトである。
ヤバい。かわいいは正義ではない。危険である。
明らかに「そのスジの人」とわかる男が死を目前にしながら、こんなゆるふわ少女にチェキで苦悶の表情を撮られるのはどのような気持ちなのか? そもそもこの子は何者なんだ? ……と、わずか数ページにして想像力を刺激されまくりである。

「ケイ」と呼ばれる彼女は「ぷるるん天然娘特急便」なるデリヘルで、指名ナンバーワンを誇る嬢。しかしそのデリヘルは表向きの看板であり、真の業務は「殺しのデリバリー」である。指名ナンバーワンというのも、あくまでも「人殺しの仕事」でのこと。実際のところデリヘル嬢としての業務も行っているのかは謎なのだが、そこに想像の余地があるのもまた魅力的だ。

よく考えてみれば表向きの職業からしてわりとハードではあるのだが、 ひとまずこのピースサインの主が腕利きヒットマンであるとはだれも想像できないだろう。

よく考えてみれば表向きの職業からしてわりとハードではあるのだが、 ひとまずこのピースサインの主が腕利きヒットマンであるとはだれも想像できないだろう。


そしてこんな真っ黒な仕事に手を染めてきながら、彼女の信条は「希望を持つこと」であり、その希望が今のところは「日商簿記検定2級合格」という堅実なものであるのもポイント。
しかも、とある事情で殺人指令に待機が出るやいなや、殺しのターゲットを前にして「休憩時間」といい放って簿記試験のための勉強を始めてしまうあたり、マジメなんだか壊れているのかさっぱりわからないのだが、とりあえず彼女が気になる存在であることだけは間違いない。

おおよそ腕利きヒットマンらしからぬ、堅実すぎる目標。そこに感じるのは哀愁? それとも、ギャップ萌え?

おおよそ腕利きヒットマンらしからぬ、堅実すぎる目標。そこに感じるのは哀愁? それとも、ギャップ萌え?


ある一件から、ケイの本名がどうやら「菊野渓(きくの・けい)」らしいということは判明するが、いったい何がどうなればこんな凄絶な人生を送ることになるのか見当もつかないし、彼女が心の奥底にどれほどの闇を抱えているのかも計り知れない。
簿記試験に対してはやたらこだわりがあるものの、おそらくその目標は「小さな希望を持つ」ためであり、現状を受け入れているのか、あるいは絶望のエッジで危うい歩みを続けているのかも、想像の範疇でしかない。

単行本情報

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