365日、毎日が何かの「記念日」。そんな「きょう」に関係するマンガを紹介するのが「きょうのマンガ」です。

8月25日は山村美紗（小説家）の誕生日。本日読むべきマンガは……。

『コミック山村美紗 ミステリー傑作選』 第1巻
山村美紗（作）
時友美如／服部あゆみ／風祭壮太／大塚あきら／瀬畑純／花村えい子（画）
秋田書店 ￥819+税

1934年8月25日。ミステリー界の女王の名で知られる小説家・山村美紗が誕生した日である。
1996年に亡くなったあとも、今なおその作品はテレビドラマほか、さまざまなメディアでの展開が続いている。
日本のクリスティともいわれる多彩なトリックを駆使した作品が多く、特に古都の魅力を活かした華やかな京都ミステリーで人気が高い。 また、ミス・キャサリンなど数多くの名探偵を世に送り出したことでも知られている。

今日ご紹介するのは、彼女の名探偵シリーズから人気作品をセレクトし、1冊にまとめたコミカライズ傑作選だ。
令嬢探偵キャサリンにホステス探偵小川麻子、検視官・江夏警視、京都府警の狩矢警部。そしてナース探偵戸田鮎子、女子大生探偵狩矢和美、舞妓探偵小菊――。
山村美紗の読者なら、なるほど、と膝を打つラインナップだろう。

特にキャサリンシリーズは複数収録され、その人気のほどが窺われる。
元アメリカ副大統領の娘であり、大の親日家であるキャサリンは、美貌と抜群のスタイルを持つ名探偵。
物怖じしない大胆さと明晰な頭脳で、常に鮮やかにトリックを解明していく。エスコート役の浜口とは恋人同士で、2人の関係が作品ごとに徐々に発展していくのも、シリーズを読む楽しみのひとつだ。

また巻末の長編は、まさに京都ミステリーの真骨頂ともいえる舞妓探偵・小菊。
純真な小菊が、友だちのために一生懸命謎を解こうとする姿は実にけなげで、胸を打つ。花村えい子氏が担当している作画の魅力も相まって、じつに愛らしい名探偵となっている。

コミックになった名探偵たちは、各作画の違いもおもしろく、小説やドラマとはまた違う魅力を備えている。
小説派の方も、ドラマ派の方も、一度コミカライズ版を味わってみてはいかがだろうか。

＜文・山王さくらこ＞
ゲームシナリオなど女性向けのライティングやってます。思考回路は基本的に乙女系＆スピ系。
相方と情報発信ブログ始めました。主にクラシックやバレエ担当。
ブログ「この青はきみの青」