365日、毎日が何かの「記念日」。そんな「きょう」に関係するマンガを紹介するのが「きょうのマンガ」です。
8月29日は焼肉の日。本日読むべきマンガは……。
『テニスの王子様』 第39巻
許斐剛 集英社 ¥390+税
本日8月29日は、8(やき)と29(にく)の語呂合わせで「焼肉の日」。
叙々苑や食道園を始め、日本各地の名だたる焼肉店が業界を盛りあげるべく加盟する「全国焼肉協会」が、1993年に定めた記念日である。
夏バテで体力をもっていかれやすい時期に、お肉を食べて元気をつけよう!という主旨だ。
何かしらことを始める前の景気づけや、逆に何かをやり遂げたあとの打ちあげで「今夜は焼肉だ!」という場面はリアルでもフィクションでもおなじみである。
お酒が入ることが多いのもあいまって、単なるメニューというよりは、文化的な宴、イベントとして我々の生活に定着している。
さて、そんな“イベントとしての焼肉”をきわめて印象的に描いたのが、かの『テニスの王子様』。
話数でいうと第341~第344話、単行本では
第38巻の終盤から第39巻の前半で、わざわざ「焼肉の王子様」という専用のタイトルロゴまで用意した特別エピソードが存在する。
テニスの名門校・青春学園中等部に入学したアメリカ帰りの天才少年・越前リョーマは1年生にして異例のレギュラー入りを果たし、頼もしい先輩たちとともに地区予選を突破。
さらに全国大会でも準決勝までコマを進めて強敵・四天宝寺中学を打ち破り、あと1勝で日本一だぞ、という大きな山場で、決勝進出を祝って焼肉店で焼肉パーティーを開くことになる。
そこへ現れたのが、六角中、比嘉中、氷帝学園、四天宝寺といった全国大会出場の強豪校メンバーたち。当然ただですむわけもなく、学校対抗の焼肉大食いバトルへと発展するのだった。
お箸ではなくトングで肉をかき集めて一気大量にかきこむトング食いといった力技。
1枚食べるごとにできる金網のスペースと新たな肉の敷き詰め方を計算して、待ち時間の無駄をなくす知略。
さらにはライバル校のタレ皿に激辛調味料をこっそり混ぜる策謀……。
いつもテニスの試合でやっているような全身全霊をふりしぼった白熱の戦いが、そのまま焼肉で大まじめに行われるさまに抱腹絶倒させられる一幕だ。
本日、焼肉の記念日にあたってはぜひ、お肉を食べてスタミナをつけつつ「焼肉の王子様」を読んだ楽しさでパーッと暑気を追い払っていただきたい。
<文・宮本直毅>
ライター。アニメやマンガ、あと成人向けゲームについて寄稿する機会が多いです。著書にアダルトゲーム35年の歴史をまとめた『エロゲー文化研究概論 増補改訂版』(総合科学出版)。『プリキュア』はSS、フレッシュ、ドキドキを愛好。
Twitter:@miyamo_7