365日、毎日が何かの「記念日」。そんな「きょう」に関係するマンガを紹介するのが「きょうのマンガ」です。
9月5日は茶畑るりの誕生日。本日読むべきマンガは……。
『へそで茶をわかす』 第1巻
茶畑るり 集英社 ¥390+税
9月5日は漫画家・茶畑るりの誕生日(1977年生まれなので、ちょうど40歳)。
アラサーの“りぼんっ子”ならば、強烈な印象に残っているだろう。あの『へそで茶をわかす』(1992年~2000年)を。連載当初、茶畑はなんと14歳の中学生だった。
90年代前半の「りぼん」ギャグ布陣といえば、岡田あーみん『ルナティック雑技団』(1993年~1994年)、さくらももこ『ちびまる子ちゃん』(1986年~1996年後、不定期連載)の1965年組がツートップ。ここに食いこんできた新世代が1974年生まれの田辺真由美『まゆみ!』(1990年~2003年)であり、1977年生まれの茶畑である。
『へそ茶』はまさに10代の少女らしい感性と勢いが詰まったギャグのてんこ盛り。いわゆる起承転結の王道4コマではなく、主人公の江崎ぐりこと友人・まりの掛けあいを中心に、投げっぱなしにも近い言葉遊びがガンガンと展開されていく。
普段はかわいいぐりこが三白眼モードに切り替わることで何かおもしろいことが始まると読者は認識。一般的なシュールギャグはクスクスが基本だが、同世代の読者たちは、もはや三白眼ぐりこが何かをポツリというだけで爆笑するという刷りこみが完璧にできていた。漫才の真似事をするのではなく、しっかりとキャラクターを確立させて読者を笑わせていたのだ。これを中学生がメジャー少女誌の連載でやってのけたという事実に驚かされる。
『へそ茶』終了以降、茶畑は「りぼん」を離れ、4コマ誌や一般誌に主戦場を移す。アイドル級のルックスを活かしてほかのメディアにも積極的に進出し、ギャル系漫画家として名を馳せていくことになる。プライベートでは2008年に漫画家の尾上龍太郎と結婚。ペンネームの由来にもなっている地元の静岡県を拠点として、現在も精力的に活動中だ。
もはやコミックスは入手困難だが、『へそ茶』はKindle Unlimited等で読むことができるので、往年の“りぼんっ子”はもちろん、初耳の若い読者にもオススメしたい。天才少女が繰りだすハイパーシュールギャグにノックアウトされること必至ですよ!
<文・奈良崎コロスケ>
中野ブロードウェイの真横に在住。マンガ、映画、バクチの3本立てで糊口をしのぐライター。