日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!
今回紹介するのは、『おさらばめる子』
『おさらばめる子』
縁山 ワニマガジン社 ¥900+税
(2017年8月10日発売)
「COMIC X-EROS(コミックゼロス)」読者投稿コーナー「ぜろすとりーと」を担当するアルバイト・南谷める子と、その悪友・ゆきえ、あてな。ゆるゆるダラダラとした3人は、時にこたつに潜り、時に妄想ATMごっこに興じ、時に唐辛子成分で自らの目を潰し……ささやかすぎる事件に一喜一憂し、毎日を過ごしていく。
ワニマガジンが発刊する成年向けコミック雑誌「COMIC X-EROS」読者コーナーから飛び出したギャグマンガ「める子」シリーズも、『だいたいめる子』、『それでもめる子』の2冊の単行本を経て、本作『おさらばめる子』でついに完結。4年の長きにわたり「X-EROS」の巻末を守り続けてきた名物連載だっただけに、さみしさもひとしおだ。
日常の些細なひと幕から、時代劇、ファンタジー、果ては実験的マンガまで……様々なテーマを駆使した質の高いシチュエーションコメディと、縁山氏お得意のかわいらしいポップな絵柄が高いレベルで結実しており、その大衆性は本作が成年向け雑誌掲載マンガだということを束の間忘れさせるほど。このマンガならお母さんにだって読ませられる!……というのは、さすがにいいすぎかもしれないが、それほどクセがなく楽しめる作品ということだ。
また、同時に発刊された電子書籍『えくすとらめる子』も見逃せない。この本は単行本からあふれてしまった作品や、雑誌未掲載の販促マンガなども収録されており、本作の副読本として、める子ファンであるならマストバイだろう。
<文・一ノ瀬謹和>
涼しい部屋での読書を何よりも好む、もやし系ライター。マンガ以外では特撮ヒーロー関連の書籍で執筆することも。好きな怪獣戦艦はキングジョーグ。