『就職難!! ゾンビ取りガール』第2巻
福満しげゆき 講談社 \600+税
(2014年9月22日発売)
エッセイマンガでおなじみの福満しげゆきが描いたゾンビマンガとして、話題になりつつも連載が休止されていた本作だが、装いも新たに今年3月から「週刊Dモーニング」で連載が再開、待望の第2巻がついに登場した!
ゾンビの発生が日常化している日本で、零細ゾンビ会社「ゾンビバスターズ」に勤める捕獲メカマニアの青年「先輩くん」と、就職難からゾンビバスターズにアルバイト入社した「後輩ちゃん」の出会いが描かれた第1巻に続き、最新2巻では、より凶暴さを増したゾンビとの戦いと、コミュニケーション下手な先輩くんと後輩ちゃんの恋愛模様がコメディタッチに描かれる。
ほかの福満作品でもおなじみの、ゆるくダウナーな日常へとゾンビを放り込み、ゾンビが町を徘徊する社会をコメディタッチながらも、リアリティあふれる世界として見事に成立させているのはあいかわらず見事の一言。
「孤独死した老人のゾンビは鈍重」「“ゾンビ狩り”と称してホームレスを暴行する悪ガキ」など、著者特有の社会へのねちっこいネガティブな視線と現実を交差させた、まさにこれまでゾンビ作品になかったであろう世界観の積み重ねは、思わず読者に「ありそう……」と思わせる。
そして、今回は1巻にて多彩な構図で丁寧に見せてくれたアクションもさらにグレードアップ! 新種のゾンビに加え、ゾンビものではなじみ深い「ゾンビより質の悪い人間」との戦いが、様々なシチュエーションで描かれる。先輩くんが開発した、新たな捕獲メカの活躍も見逃せない。
人々が常々考えている、「もしもゾンビが本当にいたら……」への解答のひとつとして100点満点、そしてバトルマンガとしての見所も満載。国内外で映画やゲーム、そしてドラマなど、ゾンビ作品が大盛り上がりをみせている今、ゾンビファンならずとも必読の一冊だ!
<文・山田幸彦>
91年生、富野由悠季と映画と暴力的な洋ゲーをこよなく愛するライター。怪獣からガンダムまで、節操なく書かせていただいております。
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