『34歳無職さん』第5巻
いけだたかし KADOKAWA/メディアファクトリー \714+税
(2014年9月23日発売)
勤め先の倒産を機に、1年間限定で無職生活を送ることに決めた34歳女性(名前は不明)にスポットをあてた、文字どおりの“おひとり様マンガ”も、5巻目に突入した。
掃除や買い物や食事や入浴シーンが動画的に淡々と描写される基本は守りつつも、この5巻では、離れ離れになっている母娘愛を主軸にして時間が流れていく(無職さんはバツイチで、一人娘は父親が養育中)。
幸いにも元ダンナとの関係はまずまず良好なようで、今回は小学生の低学年と思しき娘さんが、無職さんの住む安アパートの部屋に泊まりに来る。しばらく離れて生活していたので、微妙な距離感を覚える2人。
それでもひとつの布団にくるまって眠ることで、あっという間に仲良し母娘にもとどおり。いっさいのセリフを排除して描かれる別れのシーンは、せつなくてたまらなかった。
作中の時間軸はこの5巻で約半年。残りの半年間のモラトリアムを無職さんがどうやって過ごすのか、最後までのんびりと見守っていきたい。
<文・奈良崎コロスケ>
68年生まれ。東京都立川市出身。マンガ、映画、バクチの3本立てで糊口をしのぐライター。中野ブロードウェイの真横に在住する中央線サブカル糞中年。
「ドキュメント毎日くん」