『不器用な匠ちゃん』第5巻
須河篤志 KADOKAWA/メディアファクトリー ¥552+税
(2014年7月23日発売)
はたして趣味でつながった男女は、友人のままでいられるのか?
この作品のなかで描かれている答えは「NO」だ。
主人公の歯科技工士、藍川はひとりで武器模型を作るのが趣味だった。しかしひょんなことから模型仲間に出会い、4人の男女混合模型サークルを作ることになる。
ひとりで趣味を謳歌するのもいい、でもみんなと分け合ったらこんなにも楽しい……と、ここまではよかった。
問題は、ひとつの部屋で趣味仲間の男女が集まったら、そこで恋愛関係が生まれるのはほぼ必然に近い、という点。本作を読んでいくと、もう恋愛感情が生まれないほうがムリだろうと感じざるをえない。
4人のサークルで四角関係に……女の子同士の友情も壊したくないし……と、もう拷問状態。この自分の感情を押し殺せば、楽しいサークルが続くのでは、と考えるのも無理はない。
次第に、趣味つながりではない別の女性が加わり、五角関係になった模型サークル。
最新5巻では、さらにもうひとり加わり六角関係へ。厄介だが、読んでいるとどうしても責められない。過ごす時間が長ければ好きになってしまうし、趣味があって楽しく会話できたらやっぱり心を開いてしまう。
全員が不器用なので、じれったいことこのうえない。出てくるキャラはみんないいやつなので、相手を思いやる優しさに満ちあふれているものの、正直かなり息苦しい話だ。
ただ、それを読むのが、どうにも楽しい。人の修羅場は蜜の味なのだ。
<文・たまごまご>
ライター。女の子が殴りあったり愛しあったり殺しあったりくつろいだりするマンガを集め続けています。
「たまごまごごはん」