『大江戸酔いどれ紀行』
ラズウェル細木 リイド社 \600+税
(2014年9月26日発売)
食のマエストロ、ラズウェル細木の最新刊は、なんと時代劇マンガ。
といっても、そこはラズウェル細木。絵師・狩野遊斎(ってw)とその弟子たちが仕事と修業にかこつけて、全国各地の名物・名産を肴に極上の地酒を呑みまくる――という、おなじみのパターン。ラズウェル愛好家としては、このヌルさがまた、イイわけです。
「今日は気が乗ら~ん!!」「まだじゃ!! まだ期が熟しておらぬっ!」とかなんとか、どこへ行っても理由をつけては仕事をサボって、酒盛りを始める一同のグダグダっぷりには、親近感を感じずにいられない!
信州の蕎麦に焼味噌、京都の鱧に湯豆腐、近江の鮒寿司、大坂のハリハリ鍋、備前のままかり、土佐の鰹たたき、長州の河豚、薩摩の豚に薩摩揚げ……。
日本酒心を誘う、いや、酒好きならずともそそられる名物が次々に登場。そのいちいちにピュアに反応する彼らの姿は、知る人ぞ知るローカルグルメが様々なメディアで全国に知れわたり、ワンクリックでお取り寄せできるようになった今だからこそ、新鮮ですがすがしく感じられる。
やっぱりローカルの味は、自分の足で実際にその土地を訊ねてこその味だよな~、と背筋を正しつつ、そのうまそうな描写に、ついついネットショッピングを検索したり……!?
各地のお国柄、名物のルーツや歴史&地理的由来など、酒の席で一役買いそうなうんちくやユル雑学も満載。飲み食い好きは、ぜひ。
<文・井口啓子>
ライター。月刊「ミーツリージョナル」(京阪神エルマガジン社)にて「おんな漫遊記」連載中。「音楽マンガガイドブック」(DU BOOKS)寄稿、リトルマガジン「上村一夫 愛の世界」編集発行。
Twitter:@superpop69