日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!
今回紹介するのは、『筆跡鑑定人・東雲清一郎は、書を書かない。』
『このマンガがすごい! comics 筆跡鑑定人・東雲清一郎は、書を書かない。』
すがはら竜(画) 谷春慶(作) カズアキ(キャラクター原案)
宝島社 ¥690+税
(2018年2月22日発売)
筆跡鑑定が犯人捜し、つまり個人の特定の大きな決め手となることは、TVドラマなどでご存じの方も多いだろう。
だが文字を書いた人の性格や、書いた時に何を考えていたかまで当ててしまうのは、もうプロの領域さえ越えている。
しかしこの作品に登場する筆跡鑑定人・東雲清一郎は、それを見事にやってのけてしまうのだ。
鎌倉学院大学の2年生、近藤美咲はひとつの悩みを抱えていた。
手がかりは、亡くなった祖父の書いた手紙だけ。
美咲は、筆跡鑑定として(またはいろんな意味で)有名な同級生・書道家の東雲清一郎に相談を持ちかける。
だが清一郎は「二度と俺に近づくな。バカ女」と容赦なく美咲を一蹴。
それでもなんとか約束を取りつけ、いざ鑑定となった時、清一郎は美咲に問いかける。
「文字は嘘をつかない」
――もしかすると望まない真実が突きつけられるかもしれないが、それでもいいのか、と。
うなずく美咲。そして肝心の鑑定の結果は……?
原作は、読書メーターでも大評判となった人気のミステリー小説。
あの心温まるストーリーがついにコミックで味わえる、まさにファン待望の1冊だ。
なかでも、美貌・ドS・変人・大天才と4拍子そろった東雲清一郎が、マンガのなかで動いて様々な表情を見せてくれるのである。これはうれしい。
柔らかい絵柄、わかりやすいページ構成で、ミステリーの筋立てがすんなりと頭に入ってくるのもいい。文字が苦手で小説に手を出しづらかった方にもお薦めだ。
またあちこちに文字や書に関する知識もちりばめられていて、様々な角度から楽しめる作品となっている。
最後に。
正統派美形の清一郎はもちろんだが、個人的には裏辻准教授がおすすめ。
眼鏡スキーの女子の方、どうぞご期待あれ!
<文・山王さくらこ>
ゲームシナリオなど女性向けのライティングやってます。思考回路は基本的に乙女系&スピ系。
相方と情報発信ブログ始めました。主にクラシックやバレエ担当。
ブログ「この青はきみの青」