かあちゃんといっしょ　1
杉作　講談社　￥799
（2014年5月23日発売）

仕事しながら76歳の母を介護する息子・テツオの日々は、悲喜こもごも。『クロ號』『猫なんかよんでもこない。』の作者が、兄と母をモデルにオールカラーで綴る本作には、親の老いという誰もが直面・共感せずにいられないテーマと、この家族ならではの部分が共存している。

コワモテな中年男性のテツオが、同居しているのに介護は人ごとのような長兄・シゲオの態度にときにキレつつも、寂しい兄のためにあるものを手作りする展開には意外すぎてつい笑ってしまった。

介護のなかでよみがえる思い出も、温かかったり苦かったり。キレイゴトだけではないその人らしさや不器用なやさしさの描写に、ままならない人生の切なさがにじむ一作だ。

＜文・川原和子＞
マンガエッセイスト。幼稚園教諭、アニメ制作会社等を経て独立。著書に『人生の大切なことはおおむね、マンガがおしえてくれた』（NTT出 版）。NTT出版Webで新連載準備中。
☆連載　おすすめマンガ時評『此れ読まずにナニを読む？』（NTT出版Web内）
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