『デジコン』第1巻
小田智仁 小学館 \428+税
(2014年10月17日発売)
地球を侵略しにきた宇宙最強の男、デジラオキ・セコ・オメガ(通称・デジ郎)。だがコントローラひとつで一般人の5分の1程度の弱さになる身体にさせられる。
ゲームのキャラ操作状態。最強なお前の命運は、アタシの手の中のボタン操作にかかっているぞ……というコメディ。
最大の魅力は、彼が飛び込んできた温泉宿の少女、保志野シホの男前っぷりだ。
彼女は見た目からしてヤンキー。そこいらの不良なんかボッコボコにしてしまい、周囲から恐れられている存在。
だが、彼女は本当はヤンキーではない。自分が信じる正義を守り、人に対する仁義に熱い、ヒーローを目指す少女だ。その手段が拳なだけで。
だからデジ郎が卑怯なことをしたら鉄拳を食らわせるし、逆に彼が仁義を貫くのであれば力を貸す。
なんにでも顔を突っ込んで正義を守ろうとする彼女だから、危険な目にもあう。そこでデジ郎と共闘し、解決していくカタルシスがたまらなく熱い。
もちろんコントローラでデジ郎の力を全開放したら、小悪党なんて消し炭にするくらい簡単。だが彼女は無用な攻撃は許さない。ある程度の正義の鉄槌をくだしたら、それ以上の手出しはしない。
近年金髪のヤンキー少女がマンガ界で密かに人気だ。おそらく裏表なく、自分の義をはっきり出しているところと、優しさのギャップが魅力なのだろう。
シホはまさにその手のキャラが好きな人にはドンピシャなはず。最強のデジ郎すらも手のひらの上でころがす彼女のかっこよさ、ぜひ堪能してほしい。
<文・たまごまご>
ライター。女の子が殴りあったり愛しあったり殺しあったりくつろいだりするマンガを集め続けています。
「たまごまごごはん」