『だがしかし』第1巻
コトヤマ 小学館 \429+税
(2014年9月18日発売)
大人ならみんな食べたことがあるであろう、駄菓子のウンチクを8ページ前後で扱っていくのがこのマンガだ。
ただし、解説はそこまで多くない。駄菓子を話題の軸にしつつ、今の中学生がドタバタコメディを繰り広げており、きっちりギャグに舵を切っている。
駄菓子のノスタルジックなイメージを一新する作品だ。
駄菓子屋を継げといわれた少年・鹿田ココノツ。冗談じゃないと反発していた時、突如美少女、枝垂ほたるがやってくる。大手お菓子会社の娘で、彼女もココノツに駄菓子屋を継がせようとしてくる。
学習マンガでいうところの「解説博士役」として登場するほたる。彼女のビジュアルが、このマンガの方向性をズバッと定めている。
軽いゴスロリテイストで、現実味の薄いオシャレなファッション。上から目線でドヤ顔の三白眼、目は渦巻き。豊かすぎる表情に、豊かすぎるバスト。そして何よりも、官能的な駄菓子の食べ方。大の駄菓子好きで、超ハイテンションでウンチクを語る。
彼女が体現しているのは「かわいさ」と「駄菓子のユニークさ」だ。
めんこなどは、まったく知らない世代から見て、目新しく見える玩具として描かれる。一方で、最近の商品「生いきビール」など、大人がわからない駄菓子も取り上げられている。
作者は各年齢層の需要を熟知したうえで、駄菓子ネタを「おっさんホイホイ」にせず、幅広い世代が楽しめるラブコメディのエッセンスへと昇華している。お菓子であり玩具でもある駄菓子の、ちょっとうさんくさいおもしろさを味わってほしい。
あとは、ほたるのかわいさに悶絶しよう。
おっさんと熱く会話する美少女中学生とか、最高でしょう?
<文・たまごまご>
ライター。女の子が殴りあったり愛しあったり殺しあったりくつろいだりするマンガを集め続けています。
「たまごまごごはん」