『ぱらのいあけ~じ』第1巻
クール教信者 ジーオーティー ¥694+税
(2015年7月31日発売)
女性エロ漫画家・水木先生は、エロい妄想大好き(処女)。
学生時代から、クラスメイトを見て「あれはりょーじょく顔だ」「あれはビッチ」とニヤニヤしながら、性器の絵ばかりを描いていた彼女。エロ漫画家はまさに天職。
「エロマンガ思考」。
現実のエロスを超越した、極度に性の快楽をイメージした世界観。
水木先生の描くエロマンガは、リアリティから離れたセックスファンタジーだ。
だから楽しそうでのびのびしている。なんせ手癖で1P目から全裸になっちゃう作品を描く作家。うーん、ハッピーじゃないの。
この作品は「エロマンガ雑誌に連載されている一般マンガ」枠の作品。
エロマンガの擬音はどんなものがいいんだろう?
同窓会で「エロ漫画家」ってどんな地位なんだろう?
うまいこと「エロ漫画家の生活」をコメディにしている。
なんせ脳内がエロエロな水木先生だ、言動一つひとつが全部ズレている。
ただのエロギャグマンガではなく、エロに対する向き合い方が描かれているのが作品の魅力のひとつ。
たとえば水木先生は、自分のエロマンガをアシスタントに「オナ慣れした処女の描く漫画なんですよね」と言われる。
じつのところ、それこそがエロマンガの魅力のひとつだ。隅から隅までエロい妄想の、イッツ・ア・エロティックワールドを読者は求めているのだから。
しかし、それを言われて衝撃を受ける水木先生の気持ちもまあ、痛いほどわかる。
「エロ漫画家をはじめたきっかけ」の話。
水木先生は暇つぶしの趣味の延長に私はマンガを描きはじめただけ、趣味が違えば仕事も違ったかもしれない、と語る。
なにより、好き勝手描いているのがたまたまうまい具合に進んでいるだけ、運に助けられている、と自分でもわかっている。
「ちゃんと動いた部分なんて 最初の一歩であとは惰性なのかもね ただその一歩が とんでもなく重かったりするけど……」
水木先生はちょっとクレイジーエロス脳な人だ。
けれど彼女が考える漫画家としての生き方や、仕事への向かい方は、ものづくりをする人ならたいてい感じていること。
たまたまそれがエロだった、とわかると、エロマンガの見え方も変わってくるはずだ。
にしてもさすが、おっぱい大好きクール教信者。水木先生のバストサイズのでかさと、おっぱい描写のこだわりには頭がさがる。
このマンガを読んでグッときた人は、同作者のおっぱいエロ特化作品『チチチチ』も読んでみましょう。
<文・たまごまご>
ライター。女の子が殴りあったり愛しあったり殺しあったりくつろいだりするマンガを集め続けています。
「たまごまごごはん」