世の中にはいろんなタイプの美人がいますが、日本の和風美人といったらやっぱり「やまとなでしこ」。そして、やまとなでしこといったら、やっぱり黒髪ロング(黒ロン)でしょう!
小説や映画でも、黒ロンキャラをヒロインにたてた作品が大ヒット! やはり日本人は、黒髪が一番……ですよね!?
今回は、『エロゲー文化研究概論』の著者であり、黒髪ロング美少女キャラクターに強い思い入れを持つという、ライターの宮本直毅さんに、今オススメの黒ロンヒロインが登場する3作品をうかがいました。
[※2013年から2014年9月に発売されたマンガ単行本のなかから選出をお願いしています。]
宮本直毅さんイチオシの3作品!
『月影ベイべ』小玉ユキ
『月影ベイベ』第1巻
小玉ユキ 講談社 ¥429+税
(2013年6月10日発売)
※最新刊第3巻は2014年5月9日発売
都会からきたのに、富山の伝統芸能「おわら」を踊れる少女をめぐる物語。
人間関係の機微を丹念におさえた筆致は、さすがの小玉ユキといった観だ。
黒ロン的には、第1巻のつかみの部分から要注目。ひとけのない教室で踊りを練習する少女の姿。手の動き、体さばき。そして黒髪の流れる様子が、見開きにたっぷり、きめ細やかにつづられている。
黒髪ロング少女が美しく描かれる際、身体のちょっとした動きに漂う上品さ、洗練された所作が大きなポイントになってくる。それを踊りという題材によってあらわした名場面だ。
そして、彼女の踊りを目撃して見惚れる少年が脇に配置されているのもうまい。彼の視点は黒髪ロング美少女キャラに惹き寄せられる、私たちの代理でもあるのだ。
『死人の声を聞くがよい』ひよどり祥子
『死人の声を聞くがよい』第1巻
ひよどり祥子 秋田書店 \552+税
(2012年8月20日発売)
※最新刊第3巻は2014年7月18日発売
霊が見える少年と、霊になった幼なじみの少女が、様々な怪異に挑むホラー作品。
ストレートヘアな黒ロンキャラは、色が深い暗闇に通じる点と、髪型が流線でとらえどころがない点から、「怖いくらいきれい」「きれいすぎて恐い」という性質が出やすい。そのためジャンル的には、自然とホラーやサスペンスと相性がよくなる。過去の名作でいえば、吉田秋生『吉祥天女』や冬目景『羊のうた』、高橋留美子の短編「笑う標的」などを考えていただきたい。
とくに本作の場合、黒ロン少女自身がそのものズバリ、この世のものではなく、かわいさと恐さのリンクがきわだっている。黒ロン美少女を味わううえで重要なカギになる“彼岸の美”。それを感じ取るお手本としてうってつけだ。
ついでにいうと、黒ロンとセーラー服の組み合わせも大正義。
黒ロン+黒セーラーときた日にゃあ、もう……。教科書のような作品ですよ、これは!(黒ロン的な意味で)
『滅子に夜露死苦』 クール教信者
『滅子に夜露死苦』第1巻
クール教信者 一迅社 \952+税
(2014年6月27日発売)
地元でケンカ最強と恐れられる、クールで姐御肌な女子高生・通称「滅子」。彼女のかわいらしい悩みを描いた不良日常コメディである。
特筆すべきは、なんといってもヒロイン・滅子さんのキャラデザイン。でかい、でかすぎる!(お腹の肉が)
黒髪ロング+ぽっちゃりという合わせ技のインパクト。黒ロンといえばスマートさが至上……という固定観念をばさっと叩き斬ってくれた作品だ。
なお、表紙イラストでは横幅が広い体型に見えるが、実際は「背が高くてお腹がぽっこり」というあんばいで描かれている。黒髪ロング好きだけでなく、長身フェチの読者諸氏にもおすすめできるだろう。
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